人気とはいえ要注意「劣後債」
劣後債は債券に他ならないが、万が一の時に返済を受ける順位が普通社債よりも劣る |
一般の借入れや普通社債は、優先的に元利金の支払を受けられる負債です。他に、社債の銘柄名に「●●会社無担保社債(劣後特約付)」などというように「劣後特約」という文字が入っている社債があり、これを「劣後債」といいます。劣後債は、支払い順位が一般債務や普通社債よりも順位が後回しになる、つまり劣る(劣後)債務なのです。
ですから、最近ブームの「劣後債」は、その発行体の財務状況が盤石でないと安心して投資ができません。劣後債は返済順位が劣る分、普通社債に比べてリスクが高いのです。そのため利率が高く設定されており、逆に、投資家にとっては魅力的に映るのでしょう。
1-3月にメガバンクが次々と多額の発行をし、6月に三菱UFJ信託銀行が発行する個人向け社債は、劣後債。特に金融機関が発行する劣後債が多いことには、ある理由があります。
劣後債は、銀行経営の健全性を示す自己資本比率の計算上においては、一定限度まで自己資本つまり株式と同様の扱いをして良い、というルールがあるのです。しかし、会計の帳簿上では「負債」であり株式でない……、つまり銀行にとって資金集めに都合がよい手段なのです。
債券の投資家としては、銀行の国際的ルールでは、劣後債の一定額までは株式と同様にみなされている、という理解が必要です。劣後債と普通社債との間で投資先に迷った場合、次のような判断基準で選ぶことになります。あなたの投資基準で、どちらにするか考えればよいでしょう。
~リスクの高さに目をつぶって高い金利を得る(劣後債)か、低い金利に甘んじて低いリスクで運用する(普通社債)か~
最後に、債券に投資をする前のチェックポイントを2つ、次のページで挙げておきましょう。