自治体の少子化対策、問題点は?
写真は岡山県庁。自治体による子育て政策、その問題は。 |
また、意識の問題もありましたが、だんだんバリアフリーだとか進んできましたが、日本はやっぱり子連れに冷たい視線が多いと思います。子どもを連れて電車に乗るとか、すみませんという感じで汗だらだらになってしまうような。
蓮舫さん:冷たい視線と言うのはよくわかる話で。うち双子だったので。電車なんかのるのあきらめてしまう。電車にベビーカーを持って載せて混んでいるときに感じる差すようなまなざし。みんな赤ちゃんだったのに。飛行機なんかでも赤ちゃんが泣いてるのを嫌な顔している人がいますが、「大丈夫よ、みんな赤ちゃんだったんだから」って聞こえるように言ってあげる。……そうしていくと、意識って変わるんですよ。それは広がる。
子どもが目に入らない社会になりつつあります。目に入る社会を取り戻すにはひとり1人の努力でないとできないと思いますが、(さっき言ったような形で)改善されると思います。
住みやすい街(という話で)、乳幼児医療費って国が補填するのは3歳までなんですね。それ以降は自治体です。東京都は6歳まで無料です。でも横浜は(かつて)3歳までで、国の医療が切れたら自治体の支援はなかった、当時は。そうすると(横浜に住んでいた)友だちは何やっていたかと言うと娘が4歳になる前に大量に薬をもらっておいて。
だから、これから「住む場所を選ぶ」のって、これから子どもを持ってる世代なんだと思います。横浜は子どもがいなくなったらすぐ政策やると思いますよ。江戸川区も医療費の補填がよくなってるし、千代田区は胎児手当っていうんですか、でますから。
これはぜひ調べて頂きたい。こういうのは役所があげるものじゃないんです。役所があげる情報が以下にくだらないか。……役所の情報発信のあり方、場所の提供の仕方、全部変えていかなくちゃいけないと思います。変えるには自治体の住民の声次第なのかな。
日本の児童虐待対策は
もちろん、みんな赤ちゃんだった……日本は赤ちゃんにやさしい社会か。 |
そういう制度作っちゃうと、赤ちゃん大事なんだってまわりの人たちが(考える)。子ども大事だね、面倒なことじゃないんだねっていう意識をみんなに見せつけながら。女の人は、ということじゃなくて子どもが大事なんだと。迷惑じゃない、みんなでこれは支えていくんだという意識を制度から持たせていくということもできるかなと思います。
それから、私は働かないお母さん、専業主婦だったんですね、11年間。それによってうつうつとしていたときがあったので、逆に働いているお母さんが輝かしく見えて、仕事場にいる女性たちがみんなきれいに見えて。自分は髪の毛ぼさぼさでマニキュアひとつ塗れなくて、まいにちはいつくばって掃除して、おしめ代えて。
でもそれは素晴らしいことなのに、でもなんとなくブルーだ、そんなこと。そういう(疲労の)なか、虐待をする、そんなことは誰にでも起こりうるんだなと。
蓮舫さん:育児した人は「叩いたら赤ちゃんが黙る」という経験を全員持っていると思う。叩く手を止められないのは支援のない人です。……虐待というのはすごく多くて、この3年、児童虐待防止法ができて3年間で通告されたのが27000人いて、そのなかで157人の命が亡くなっているんですけど、亡くならなくていい命なんです。
ここの研究分野が日本は一番遅れていて。アメリカの虐待は7割が虐待遺伝。同じことが実は日本でも起こっているんじゃないか。ここはもっと研究したい。(しかし)研究費に使う予算はおろか、この虐待されてるかもしれない子どもを救う児童福祉司という専門家の給料さえも日本政府はお金を出していない。
1人の児童福祉司があつかっている、虐待されている、されているかもしれない子どもの案件は200件です。1人が200件。それはこぼれます。こういうところをちゃんとやろう。
産むのって選択制ですから、今ある命をどうやってなくさないか。それと不妊治療している人をどうやってお金と精神面を支えるか。そしてひとり産んだけどもういいというひとがどうやって産んでもいいかなと思えるか。まったく産んでない人にこれだったら産んでも楽しいと思えるか。(これだけ)入り口が違うことを(考えないで)これだけやってきたのにという産まないんだという政治家の声ですよね。もっと細かくやっていかないとこれから先の人たちは産まないと思う。
藤野さん:カウンセリングの方たちの数がアメリカにくらべると圧倒的に少ないんですよね。そういうことを大切にしない国っていうのはやっぱり人を弱くしてしまう、モラルに関する欠如を生んでしまうんじゃないかっていうのは問題なんじゃないかって思います。
(次ページではジェンダー論や妊娠中絶の話、「子ども省」構想まで?)