経済財政諮問会議とは
民間有識者の識見を活用する経済財政諮問会議。官僚主導でなく、総理大臣のリーダーシップが発揮できる場、なのですが…… |
経済関連のニュースに耳を傾けていると、経済財政政策担当大臣が、頻繁に経済財政諮問会議の報告を会見していることに気づくでしょう。2009年に入ってから審議された主な内容は、次の通りです。
- 「経済財政の中長期方針と10年展望」の策定
日本が目指す経済社会の姿を描き、経済財政運営の中長期的な方針と展望を示した - 現下の金融・雇用情勢について
- 農業改革
- マクロ経済運営について
- 成長戦略の集中審議
~健康長寿、底力発揮(人材力・コンテンツ・農業・観光・情報通信技術)、低炭素革命、アジア・ワイドの成長力強化 - 経済危機克服の道筋
なかでも、1月に発表された「経済財政の中長期方針と10年展望」は、「消費税率引き上げ時期を明記するか否か」で注目された「麻生総理の願望」を明文化した政策展望として、記憶に新しいでしょう。
展望の内容をおさらいすると、
- 短期的に、あらゆる財政金融政策を動員して「不安の連鎖」を阻止
- 中期的には、責任財政を確立
- 10年を展望した中長期的には、「潮流変化」を先取りする成長を目指す
というものです。
「骨太」でなくなった方針?
ところで、経済財政諮問会議の重要な仕事として、「骨太の方針」が真っ先に思い浮かぶ方もいらっしゃるでしょう。経済財政改革の基本方針の取りまとめです。「骨太の方針」は、小泉構造改革の時代の象徴でしたが、現在では、経済財政運営の基本方針には、「骨太」の文字は使われていません。『「美しい国」へのシナリオ』の副題が印象的な「骨太の方針」第7弾、2007年6月策定の「経済財政改革の基本方針2007」を最後に「骨太」の文字は消えました。先に紹介した、2009年の1月に発表された基本方針「経済財政の中長期方針と10年展望」が、以前の「骨太の方針」に相当するものです。麻生内閣が発足し、「経済財政政策の基本方針」をリニューアル。「経済財政の中長期方針と10年展望」を発表しました。内容は、もはや構造改革とは一線を画したものになっています。
では、以前のように「骨太の方針」と謳わなくなり、構造改革路線から離れてしまった今、「経済財政政策の基本方針」は重要でなくなったのかというと、そうではありません。
経済財政諮問会議が作成する「経済財政政策の基本方針」は、翌年度の国家予算編成の基本方針を策定する前提であり、翌年度の税制改正案を策定する前提であるからです。
内閣が代わり、「経済財政政策の基本方針」の方向性が変わったため、政策が右往左往しているように見えます。それだけに、経済財政諮問会議の審議は重要です。
内閣府のHPで過去の議事報告を見ると、経済財政諮問会議は1カ月に2~4回程度のペースで開かれています。それだけ、現在の日本の経済環境は、審議をすべきものが多い状況だということ。3大臣を兼務する与謝野馨大臣の健康状態が心配されます。
「国のお金全般を担当する」3大臣兼務を危惧すると同時に、重要なポストを3つも兼任させる内閣の危機管理も疑問視されています。それでも与謝野大臣が叩かれずに兼務できているということは、与謝野大臣のお人柄が広く支持されているということなのでしょう。
【関連サイト】
・『財務大臣、財務省の仕事とは?』
・『金融担当大臣、金融庁の仕事とは?』
・『概算要求基準、補正予算、復活折衝とは?「【「大蔵支配」から「政治主導」予算への切り札? 経済財政諮問会議】」(All About「よくわかる政治」ガイドサイト』
・経済財政諮問会議Home(内閣府)
【関連リンク】
・『国家財政・税金・公共投資』