保護貿易によって、どうなる?
海外販売の落ち込みは日本企業の大きなダメージに。各国が高い関税をかければ、ますます…? |
日本の輸出企業の製品が、取引相手国で高い関税をかけられた場合を考えてみましょう。ただでさえ、世界的な景気低迷で、海外販売が急激に落ち込んでいる状況です。高い関税によって日本製品が売れなくなれば、ますます日本の景気が落ち込んでしまうのは目に見えています。
●国内の消費者は、どうなる?
では、輸入品に関税がかけられた場合、保護主義国内の消費者にどのような影響があるかを考えてみましょう。
その海外製品が魅力的で、国内の消費者の多くが支持するものだったとします。関税が上乗せされた分、国内での販売価格が高くなり、消費者の負担が増します。この段階で、消費者は間接的に課税されたことになります。保護貿易の費用負担者は、最終的には輸入国の消費者というわけなのです。
また、価格が相対的に低くなれば、同じタイプの国内製品を購入する消費者が増えるでしょう。品質の善し悪しより、価格の安さを重視した品物選びを消費者に促してしまうことも考えられます。
●国内の企業は、どうなる?
関税で保護された分野の国内企業に与える影響は、関税の目的によって違いがあります。
アメリカの例で説明したように、輸入品に関税をかければ国内メーカーが相対的に有利になります。国内の成長分野にとっては、産業の育成期間中に保護してもらうことで成長が促され、メリットとなります。
ある産業を国際競争から守りたいとか、国内企業の業績を伸ばしたいだけの場合はどうでしょう。目先は保護によって救われるかもしれません。しかし長い目で見ると、守ったつもりの国の産業の競争力を弱め、発展を鈍らせてしまうのではないでしょうか。
行きすぎた貿易の保護は、世界的な貿易の縮小につながり、世界景気がさらに悪化してしまいます。
最後に、急速に保護貿易主義が広まった現状とこれからについて、次のページで見てみましょう。