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家庭から流す水が怖い?水で考える環境問題(2ページ目)

環境問題というと、CO2排出を筆頭に空気を汚さないことを真っ先に連想することが多いもの。しかし、水の汚染や浄化も、地球環境に大きな影響を与えます。産業界で進む水質浄化も、家庭レベルでは・・・?

執筆者:石原 敬子

家庭で普段使うシャンプーや洗剤も、化学物質

ガイド石原は、引っ越し後に通い始めた美容室Dreams(愛知県)で、パーマ液やカラーリング剤を使った排水がどれだけ地球を汚すものなのかを、初めて意識させられました。

それまでは、特に意識をせずにパーマやヘアカラーをしていました。しかし、これらはれっきとした化学薬品です。そういえば、美容師さんの手が荒れるという話は、よく聞きます。それは有害な化学薬品を使用しているからなのでしょう。また、美容室の水回りは、一般的にヘドロの付着や悪臭がひどいそうです。今まではその事実を知りませんでしたが、美容室はサービス業、それをお客さんの目に触れないようにしているというだけのことだったのでしょう。

改めてその事実に気づくと、生活のあらゆるシーンで化学薬品を使っていることが目につきます。

洗濯用洗剤、食器洗いの洗剤に使われている「界面活性剤」という物質があります。洗剤で使われる界面活性剤は、汚れをはがして水の中に押し込む、という役割を果たしています。

基本的に市販されている商品に含まれる界面活性剤は、多量に飲み込んだりしない限り、健康への問題は特にないようです。しかし、1回の使用では少量かもしれませんが、毎日使い続けていき、微量ずつでも皮膚を通して体内に蓄積されているとしたら?そしてその排水は、毎日家庭から流して地球を汚しているのでは?

洗剤などの容器には、たいてい注意書きがされています。改めて台所用合成洗剤の容器に書かれた「使用上の注意」を見てみました。

「使用後はよく手を洗う」「荒れ症の方や長時間使用する場合は手袋を使用」「野菜・果物を洗う場合は5分以上つけたままにしない」

「応急処置」として、「目に入った時はただちに流水で15分以上洗い流し、眼科を受診」などと書かれています。

これらの注意事項は、体内に有毒な化学物質が蓄積される可能性があることを意味します。そしてこれらの化学物質は、家庭から環境中に流されていきます。

なお、界面活性剤には毒性の強いものから低いものまでさまざまな種類があるようです。その程度によって使用方法や注意事項が違うと思われます。しかし、普通の消費者が、洗剤のパッケージを見ただけで含有成分の毒性レベルを判断するのは難しいものです。

「環境に優しい」のほとんどは、汚染のスピードを緩めているだけ

最近は、「環境に優しい」とうたった素材を使用した商品も多く出ています。しかし、アロエ成分や緑茶成分など植物原料を配合した商品であっても、名称は合成洗剤です。

化学物質を含んでいるのであれば、それは単に地球を汚すスピードを他の商品よりも遅らせているというだけのこと。そうではなく、すでに汚染してしまった地球をきれいに戻すことが本当の環境浄化なのではないでしょうか。


(資料提供:「株式会社日向」

洗剤一つとっても、化学物質の一端。各家庭からさまざまな化学物質を垂れ流していることを改めて認識しました。合成洗剤に含まれる窒素やりんは、一般的な下水処理行程では完全に除去することは難しく、赤潮などの原因ともなっています。地球環境の変化を考えると、家庭で汚した水を自治体等の汚水処理施設に任せっぱなしにするのではなく、使用した後の水を流す段階で、各家庭が責任を持つ必要性を痛感させられます。

しかし、各家庭で排水をきれいにする方法には、どんなものがあるのでしょうか。その一つを、次のページで見てみましょう。
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