2ページ目 【議院証言法をみて日本の国政調査権について知ってみよう】
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【どうすれば国会の国政調査権をもっと意味あるものにできるのか?】
行政機密についての調査はどこまでできる?
行政機関が持っている「機密事項」はどこからどこまでが証言可能な範囲となる? あまり日本では争点になってこなかったことだ |
議院証言法では、こういった機密事項に関しては監督官庁などの許可がなければ証言してはならないと規定されています。ただ、それにはもちろん理由が必要であり、委員会が内閣にそれを拒む理由を声明する要求をする権利があります。
そして求めがあったにもかかわらず10日以内に内閣声明がない場合、証人となった公務員は機密事項についての証言や記録の提出などをしなければなりません(議院証言法第5条)。
問題は「何をもって機密であるという理由とするか」ですね。
たとえば公務員の仕事を通じて知りえた個人の純粋プライバシー情報。こういったことにまで国政調査権が発動されるのは、もちろん問題です。
ただ、汚職の追及などの場合、どこからどこまでを「守るべき個人情報」として判断するか。難しいところです。
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以外に知られていない「予備的調査権」
さらに「衆議院規則」によると、国政調査権の発動前に、予備的調査をすることが認められています(規則第56条の2)。さらに、衆議院議員40人が連名で予備的調査を求めた場合、委員長は人権侵害などのおそれがない限り、原則これを認めなければならないとされています(規則弟56条の3)。
国政調査権の発動には多数派である与党の賛成が必要不可欠と思われていますが、実際には野党がこの権限を行使して予備的調査を行い、証拠を積み上げて国民を前にして与党に突き付け、国政調査権発動に有無を言わさない作戦を取ることも可能なわけです。
「国政調査専門委員会」作るアメリカ、作らない日本
さて、「日本の国会による国政調査権発動は、パフォーマンス的なものが多く、その役割を十分果たしていない」とよくいわれます。それは、なぜなのでしょうか。
たとえば議員の調査能力の欠如、あるいは議員事務局の国政調査権に対する体制の不備、などはよくいわれていることなので、その他のことをあげておきましょう。
まず、「既存の委員会で国政調査権を発動する」ことに、大きな問題があると専門家は指摘します。
アメリカでは、大きな汚職事件などについては、その都度「独立委員会」なる専門の委員会を設けて、この委員会に決議などで大きな権限を与え、集中的に調査を行わせていくことが通常です。
しかし、日本の場合は常任委員会、または特別委員会といった既存の委員会で国政調査権を発動しています。これらの委員会はもともと法案審議を目的とした委員会ですから、そのかたわら国政調査権を発動することは、どうしても「片手間」となってしまう可能性が大きいです。
しかも日本の委員会制度では、ほとんどの議員が複数の委員会を「かけもち」しているのが現状。さらに交代も頻繁で、これで国政調査権をフル活用するのは難しいかもしれません。
日本でもたとえば事件が起きるたびに「耐震偽装問題特別調査委員会」などをそのつど設置し、本会議の議決でかけもちでない委員を固定しもっぱらその調査に当たらせるのが必要かもしれません。
国政調査がうまくいかないのであれば考えたい「オンブズマン制度」
ある案件についての専門委員会の設置、常時国政調査を行うオンブズマンの選任などが必要かもしれない |
オンブズマンとはスウェーデン語で「代理人」という意味で、スウェーデンでは国会、ひいては国民の代理人として、行政活動の監視、監察を常に行う重要な役職となっています。
スウェーデン国会は通例4人のオンブズマンを任命し、彼らに大きな権限を与え、行政活動の監察を行わせています。彼らには4年の任期が与えられています。解任は法律的に可能ですが、今までその例はないようです。
オンブズマンの権限は大きく、いつでも行政施設への抜き打ち検査が行えるほどです。オンブズマンの調査に対する拒否はそのまま刑事罰になります。
また、市民がオンブズマンに直接申し立てをすることができます。もっとも、その90%は「不問」となるのが実情、告発も数年に1回あるかないかですが、それでも1割、件数にして年300件以上の申し立てに対して行政や国会に警告や申し立てを行っています。
オンブズマン制度を導入する国は広がっています(イギリス、フランス、スペイン、ニュージーランドなど)。国会議員さんたちが忙しいのであれば、このような制度の導入も検討の余地ありかもしれません。
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