2ページ目 【主な判例(1)大法廷・第一小法廷】
3ページ目 【主な判例(2)第一・第二・第三小法廷】
【主な判例(1)大法廷・第一小法廷】
大法廷判決 定住外国人自治体職員の昇進差別事件
地方自治体の職員が定住外国人の場合、管理職への昇進ができないことについて、最高裁大法廷は合憲であるとの判断を下した(2005年1月26日)。多数意見:永住外国人職員が昇進できないことには合理的な理由があり、憲法第14条1項の法の下の平等に違反しない。
今回審査の裁判官の判断:
多数意見側 才口千晴、津野修
反対意見側 なし
(中川了滋裁判官は任官していたが審理に参加せず、判決への連名もなし。他の裁判官は任官前)
第一小法廷(1)国籍確認請求事件
戦前、日本人女性と朝鮮人男性との間に生まれた非嫡出子(正式な婚姻関係の子どもでない人)で、戦前に日本国籍を取得していた人は戦後も日本国籍を持つか。判例 父から認知されていれば日本国籍を失わせる理由がない。
今回審査対象の参加裁判官 才口千晴(2004.7.8)
第1小法廷(2)おとり捜査事件
おとり捜査はどこまで認められるか。判例 被害者のいない薬物事件など捜査困難な事件では認められる。
今回審査対象の参加裁判官 才口千晴(2004.7.12)
第1小法廷(3)『ゴーマニズム宣言』名誉毀損事件
小林よしのり氏が、彼への批判本『脱ゴーマニズム宣言』の作者らについて反論を漫画の中で主張したことは、名誉毀損に当たるか。判例 本件は法律に関する意見の表明なので、名誉毀損には当たらない。
今回審査対象の参加裁判官 才口千晴(2004.7.15)
第1小法廷(4)訂正放送要求事件
虚偽の内容を放送され権利を侵害された者は、訂正放送の要求を権利として行使できるか。判例 憲法上の表現の自由との兼ね合いから、訂正放送の義務は放送局による自律的な義務であり、直接請求できる権利は発生しない。
今回審査対象の参加裁判官 才口千晴【裁判長】(2004.11.25)
第1小法廷(5)公費返還事件
「都道府県議会議員野球大会」に県職員を派遣し、旅費を支出した知事の命令は違法か。判例 派遣命令は違法だが、過失性はなく、旅費の県への返還は必要ない。
今回審査対象の参加裁判官 才口千晴【裁判長】(2005.3.10)
第1小法廷(6)狭山事件再審請求
いわゆる「狭山事件」の再審開始請求をめぐる審理判例 今回示された新証拠は、再審開始の理由にはならない。
今回審査対象の参加裁判官 才口千晴(2005.3.16)
※狭山事件:1963年発生の女子高生殺害事件。石川一雄受刑囚が無期懲役の判決を受けた。石川受刑囚はいわゆる「部落」出身者であることから、差別を背景にしたえん罪であるとの声も強い。
第1小法廷(7)遺族年金受給事件
私学共済年金の加入者だった者が死亡した場合、遺族年金を受給するのは実際に生活をともにしていた内縁の妻か、それとも戸籍上の妻か。判例 20年以上戸籍上の妻と別居し、内縁状態が続いているのであれば、内縁の妻が受給者と考えられる。
今回審査対象の参加裁判官 才口千晴(2005.4.21)
第1小法廷(8)交際費文書情報公開事件
自治体による交際費支出の相手方を公開しないのは違法か。判例 公開することにより円滑な自治事務が行われなくなるのである本件は適法。ただし、交際費のルールの明確化は必要である。交際費の相手方公開で不都合が生じるような相手と交際しないことが必要である。
今回審査対象の参加裁判官 才口千晴【裁判長】(2005.7.14)
(写真提供:東京発フリー写真素材集)