駆け引きも大きく影響
流通業者の業務提携、価格の常識を変える?! |
素材を生産・販売する素材メーカーとそれを購入して加工する部品メーカー。部品メーカーとそれを仕入れて加工する製品のメーカー。製品のメーカーとそれを買い付ける卸業者。その製品を卸業者から仕入れ店頭で販売する小売店。小売店とその製品を購入する消費者・・・・・・。というように、モノが流通していく途中では取引が行われていますが、その取引ごとに売り手と買い手がいるために、ここで何重にも駆け引きが起こります。
売る側は、買い手の需要が高ければ価格を吊り上げ、需要が低ければ価格を下げるのが基本ですが、価格が高すぎると買ってもらえないだろうと考え、仕入れ値が上がっても販売価格を引き上げないこともあります。
世の中に、生産者と消費者しか存在しないのなら話は早いのですが、このように、途中でストレートに価格が反映しないことはよくあることです。しかし利益を度外視した価格では長続きしませんので、駆け引きや交渉をしながら価格を決めて行きます。そしてこの駆け引きや交渉はそれぞれの取引の場面で起こるので、複雑になります。
ここでポイントとなるのは、この流通の駆け引きや交渉は、「どの段階の当事者が強いか」ということです。
例えば、最近の経営統合などで規模拡大を図っている小売店は、卸業者やメーカーに対して「もっと卸価格を下げろ」と要求しやすくなってきています。大量に仕入れるため影響力が大きく、卸業者やメーカーが妥協して安い仕入れ値にせざるを得ない状況に追い込んでいます。
流通経路のどの段階の当事者が強いのかは、業界により違います。また、その勢力も時とともに移り変わっています。
このように、本来は、モノの価格は需要と供給のバランスが取れたところで価格が決まるものなのですが、実際はさまざまな背景が影響しているために複雑になっています。物価を読むときには、そのモノの原料にさかのぼって、それに関連する需要と供給の背景、関係者の駆け引きにおける強弱関係を考える必要もあるでしょう。
【関連サイト】
・「経済入門 ★超入門★ 値段の決まり方と役割」
・「日銀の金融政策を読むための、3つの物価」
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