文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
日興コーディアルの利益水増しで締めくくった2006年の金融界は、不祥事が相次いだ年だったように思いますが、投資家や利用者は、今後ますます、フィルターとしての位置づけが重要になってくるのではないでしょうか。今回は、念頭にあたり、日本の金融を健全にするためには何が必要かを考えてみました。
<INDEX>
投資家は市場を浄化するフィルター(1P目)
アマチュアの甘えがプロを甘やかす?(1P目)
期待はずれの本、騙されたと思う?(2P目)
元本割れの投資信託の場合は?(2P目)
あなたのレベルアップが金融界を監視する(2P目)
投資家は市場を浄化するフィルター
次々と報道される金融界の不祥事・・・安心して運用できる理想的な環境とは? |
そもそも、市場は浄化作用のあるところです。市場で評価されないものは淘汰され、投資家に価値を認められたものがますます存在価値を高める役割を持つはず。しかし、急激に発達したネット環境と、空前の低金利による運用対象の不在という背景で未だ未成熟の日本の資本市場に、若葉マークの投資家が大量に押し寄せた結果、「なんでもあり」の金融界を育てることになってしまったのではないでしょうか。
アマチュアの甘えがプロを甘やかす?
ライブドア、村上ファンドは資産運用ビジネスを展開していましたが、若葉マークには理解できないような高度な金融工学を駆使し、初めは正攻法だったのでしょう。しかし、そのレベルが抜きん出ていたために、投資家によるフィルターが作用せず、突っ走ってしまったかのように思われます。また、生・損保業界で相次いだ保険金未払い事件も、契約者の約款を読む力が不足していることを利用、悪用した事件といっても過言ではないでしょう。そういう意味では、難解な約款を契約者が理解しやすいように改善せずにいた監督官庁にも、反省すべき点はおおいにあるのではないかと思います。約款が、もっとわかりやすいものであれば防げた事件かもしれません。
しかし、投資家、利用者や契約者自身は、自分がアマチュアだからプロはアマチュアのレベルに合わせるべき、と言い張るのもいかがなものかと考えます。いつまでも、アマチュアだからと甘えているようでは、日本の金融業界は世界から後れを取るばかりでしょう。
では、私たちは今後どのようにしたら良いのでしょうか。そのヒントは、次のページへ!