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いざなぎ超え、実感が湧かないのはなぜ?(3ページ目)

景気の循環が、戦後最長の好景気を迎えようとしています。2006年10月にはいざなぎ景気に並び、11月には更新するとのこと。しかし私たちの生活実感はそれほどではないという声も。いったいどういうことなのでしょう?

執筆者:石原 敬子

実感が湧かないのに、この景気が長続きするワケ

都心
全ての景気の波が上向きに!60年に1度の好景気
景気の循環には、そのサイクルの長さによって4つの波動があると考えられています。実は、2006年の日本はその4つの波動がいっせいに上向きになるというゴールデン・サイクルになる年で、60年に1回訪れる好景気の波を迎えるのです。

その4つの景気循環とは、企業の在庫と出荷の状況から3、4年で1つの周期を形成する「キッチン・サイクル」、設備投資の状況からおよそ10年で1つの周期を形成する「ジュグラー・サイクル」、建物の耐久需要や人口の流れなどから20年を周期とする「クズネッツ・サイクル」、技術革新や地理上の条件、戦争などを要因とする平均55年周期の「コンドラチェフ・サイクル」のことです。この4つが全部上向きになるというのです。

また今回は、バブル景気の反省からか、民間企業は堅実な事業活動を行っています。例えば、政府の財政出動に頼らず、3つの過剰「過剰債務」「過剰雇用」「過剰設備」を削減しながら経営効率を上げるように努力しています。少ない売上高でも利益を上げられるような体質作りということですね。また、企業の設備投資や在庫管理を客観的にかつ効率的に行い、需要に見合った範囲で抑えているのも特徴です。そのため、バブル期のような過熱現象が現れずに長続きしていると思われます。

さらに、米国のスピード感ある経済政策や中国の高成長に助けられている面もあるでしょう。

一方で、懸念材料もないとはいえません。しかし、それがあるからこそ、企業が慎重になっているのではないでしょうか。原油価格を初め素材価格の高騰、北朝鮮問題、米国や中国の景気後退、国内の長期金利の動向などが明確な懸念材料として意識されているため、逆に企業が慎重になるから良いのかもしれません。

すなわち、今回の景気は、地味ですが、その良さが実感できないほどの「良すぎず、悪すぎず」のこの状態をいかに長く保つかがカギになっているのではないでしょうか。

【関連サイト】
「サラリーマンの平均年収、8年連続ダウン!」

「いざなぎ超えとは?いざなぎ景気って?」

「景気回復が長期化!そしてその先は?」

「景気動向指数(速報)」(内閣府)


【関連リンク】

「景気動向、好況・不況を読む」

「景気指標や経済データ検索」
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