ロシア産の天然ガスは需要が多く、ヨーロッパの多くの国に輸出されて企業や家庭で利用されています。しかし価格をめぐるロシアとウクライナの対立のために、2009年明けにロシアからヨーロッパへのガス供給がストップするという事態が起こりました。

【CONTENTS】
市場価格で販売したいロシア、それを拒否するウクライナ(1P目)
そして繰り返される歴史……(1P目)
ウクライナを通らないとヨーロッパに行けないガス(2P目)
背景にはウクライナの政治対立(2P目)

市場価格で販売したいロシア、それを拒否するウクライナ

東欧の地図
東欧の地図。右がロシア。この地図でわかるように、ウクライナはロシアとヨーロッパ諸国に挟まれている。天然ガスのパイプラインがウクライナにあり、ロシアからの天然ガスはウクライナのパイプラインを通らないとヨーロッパに行けない。
今回のガス紛争・供給停止が起こったのは、ロシアとウクライナ両国間で価格に関して合意が取れていないためです。かつてロシアは旧ソ連の一部でもあったウクライナに対しては、EU諸国など他国に販売する価格よりもかなり安い価格で天然ガスを販売していました。

紛争の争点となっている天然ガスを供給するのは、ロシアの国営企業であるガスプロムという会社です。しかしガスプロムは国営企業であるので、実際に意思決定をしているのはロシア政府です。2005年4月以前には、ロシアはウクライナに対して天然ガス1000立方メートルあたり50ドルという価格を設定していました。

ところが2005年4月にガスプロム社はウクライナ政府に対して、以後は価格を1000立方メートルあたり160ドルに引き上げるという提案をしました。ウクライナ政府はそれを断固として拒否し、そのまま交渉はまとまらずに2006年明けを迎えます。

そして1月1日から、ロシアはウクライナへの天然ガス供給停止を強行。しかしながらその供給停止はヨーロッパを大混乱に陥れたため、両国はすぐに歩み寄りの姿勢を見せ、1月4日には妥協案として1000立方メートルあたり95ドルの価格で合意し、ガス供給は再開されました。なぜウクライナへの天然ガス供給が止まるとヨーロッパが混乱するかは、後で詳しくお話します。

そして繰り返される歴史……

2009年になって実行された天然ガスの供給停止は、3年前と同じような経緯で起こりました。今年のガス問題でも両国間の価格交渉が原因となっており、2008年には1000立方メートルあたり180ドルだった価格を、ガスプロムは450ドル程度に引き上げると提案しています。

それから今回もう1つ問題となっているのが、ウクライナ側のガス料金滞納です。日本の一般家庭でも、ガス代を支払わないとガスを止められてしまいますね。ウクライナは国家レベルで「ガス代滞納」をしており、それだけで考えるとロシアがガスの供給を止めるのも決して無法な措置ではありません。

昨年から続く金融危機・景気悪化のために、ウクライナは、ガス代金と罰金などを含めて20億ドル(約1800億円)以上を滞納していると言われています。

そのような状況の中、ロシア政府は1月7日にウクライナやヨーロッパへのガス供給を全面停止する措置を発表しました。このためにウクライナ経由でヨーロッパへ行くガスも止まってしまい、ヨーロッパは企業や個人が大変困ってしまう状況に追い込まれています。