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国会の存在意義ってなに?(2ページ目)

政治の超基礎講座、いよいよ日本の政治システムについて入ってきました。まずは国会について、数回に分けて解説していきます。そもそも、国会の存在意義ってなんなのでしょう。そこから掘り下げます。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【国会が「唯一の立法機関」であるということの意味を考えてみよう】
2ページ目 【国会が立法機関であることが骨抜きにされてしまっている? 国会の意義とは】
3ページ目 【国会は「国権の最高機関」であるという憲法条文の解釈でも論争が】

【国会が立法機関であることが骨抜きにされてしまっている? 国会の意義とは】

内閣提出法案と議員提出法案のこれだけの格差

まず、今年の1~6月まで行われた第159回通常国会をみてみましょう。

議員提出法案  83  成立率 18%
内閣提出法案 127  成立率 94%

国会議員が提出した法案よりも、まず内閣提出法案のほうが圧倒的に多い。しかも、成立率では桁違いな状況。国会議員は、立法機関の一員として立法をする側なはず。しかし、現状は内閣のいってることに賛成するだけになってしまっているのではないのか。

ま、内閣を組織しているのは国会の多数勢力、与党の国会議員たちですから、自分たちが作っている内閣が提出した法案を多数勢力が成立させない、というのはおかしな話なのですが。

問題は、だれが内閣提出法案を作っているか、ということです。

内閣提出法案を作っているのは誰か

たくさんの内閣提出法案、これをつくっているのが与党の国会議員から作られている内閣、または与党の国会議員たちなら問題はない。

しかし、大多数は内閣の下にいる官僚組織によって作られているのです

菅直人前民主党代表の著書『大臣』(岩波新書)が閣議の様子を暴露しています。菅さんはむかし自民・社会・さきがけ連立内閣のとき厚生大臣やってましたからね。

それによると、われわれは閣議はきちんとした議論を闘わせて、「ではこの法案を内閣提出法案として提出する」とか決めているように思ってますけど、そうではないらしい。

官僚たちが上げてきた案件がどんどんまわってくる。説明を聞いている暇などない。ただひたすらサインをするだけ。意見も何もでない。そして閣議終了。内閣提出法案ができているわけです。

つまり、内閣提出法案のほとんどをつくっているのは、官僚たちなんですね。行政の人間であって、国民の代表者である国会議員ではない。その法案のほとんどを、国会はすんなり認め、法律として制定させちゃってる。

つまり、現代日本の法律のほとんどは、本来行政をつかさどり、立法機関ではないはずの官僚たちがつくり、それを「唯一の立法機関」のメンバーである国会議員たちが追認しているにすぎない。ま、あえていえばこんなことになるわけです。

それでも、国会の復権目指す動きも

ただ、救いなのは、このところ議員提出立法が増えている点です。まだまだ成立率は低いですが、衆参あわせてこのあいだの通常国会では83。

1996年は1年間でようやく10件でしたからね。確実に増えてます。

よくみれば、今の国会議員、与党も野党も自民党出身者が多い。民主党も実は自民党出身者が多い。だから、みんな法案をつくるとはどういうことか、よくわかってきてるんですね。

それに、2001年から副大臣や大臣政務官の制度が設けられ、それまでよりたくさんの政治家が官僚機構の中に身を投じるようになった。

結果、官僚のやり方(立法過程)がよくわかるようになり、ふつうの議員に戻ったとき、じゃあ議員法案作ってみようか、みたいなことにもなっているわけです。

 

さあ、ここでもう1回、最初に掲げた憲法の条文を見てみましょう。

日本国憲法 第41条
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

※下線部は筆者による

国会は、国権の最高機関とあります。これにも、いろんな説があります。掘り下げると、解釈の上での問題だけにとどまらないものがでてきます。次ページで解説してみましょう。

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