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国会の存在意義ってなに?

政治の超基礎講座、いよいよ日本の政治システムについて入ってきました。まずは国会について、数回に分けて解説していきます。そもそも、国会の存在意義ってなんなのでしょう。そこから掘り下げます。

執筆者:辻 雅之

(2004.08.05)

さあ、いよいよ日本の政治システムについてお話をする時が来たようです。まずは国会をとりあげます。国民の代表で選ばれる国会、今回はそもそも国会とはなんぞや? というお話です。

1ページ目 【国会が「唯一の立法機関」であるということの意味を考えてみよう】
2ページ目 【国会が立法機関であることが骨抜きにされてしまっている? 国会の意義とは】
3ページ目 【国会は「国権の最高機関」であるという憲法条文の解釈でも論争が】

【国会が「唯一の立法機関」であるということの意味を考えてみよう】

国会は唯一「法律」をつくれるところである

まずは憲法第41条をみてみましょう。

日本国憲法 第41条
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。


まず憲法では、国会が国の中心機関であることを説き、そして、唯一「立法」できる機関であることを示しています。

「立法」とは法律を作ることです。国には国民が守られければならない、そしてそれを守らせるために政治権力が強制することができるさまざまな「法規」がありますが、一般的にその中心となっているのは法律です。

ですから、国民の代表の集まりである国会が法規の中心である法律を作るのは、民主政治にとって非常に重要なことなわけです。

「法規」とは何か

ちなみに「法規」とは、守らなければならない優先順位からいうと
(1)憲法(改正を決めるのは国民)
(2)条約(つくるのは内閣だが、国会の承認が必要)
(3)法律(国会が作る)
規則(裁判所が作る)
(4)政令(内閣が作る)
条例(地方自治体の議会が作る)
(5)命令(各省庁が作る、いわゆる省令など)
規則(地方自治体の長が作る)

となってますが、

政令とは「憲法及び法律の規定を実施するため」(日本国憲法第73条)制定されるものであるもので、政令を作るための根拠となる法律が国会で作られなければなりません。内閣が単独で政令を作ることはできません。

条例もまた、「法律の範囲内で条例を制定することができる」(日本国憲法第94条)とあり、法律に反する条例を作ることはできません。

命令も国家行政組織法において「法律若しくは政令を施行するため」つくられるものだとされています。(国家行政組織法第12条1項)

また地方自治体の長が作る規則も「法令に違反しない限りにおいて」作ることができるとされ(地方自治法第15条1項)、いずれにしても法律に反するものをつくることはできません。

憲法と条約をのぞいて(ま、条約は法律といっしょで国会が制定するようなものですが)唯一、法律に縛られない裁判所が作る規則は、あくまで司法事務処理に関わるものに限定されています(日本国憲法第77条1項)。

「唯一の立法機関」の意味

つまり、法規というのはそのほとんどが法律をもとにしてつくられ、法律に従わなくてはならないわけです。法律なくして、ほとんどの法規は存在することができない。

ですから、その法律制定を独占している国会は、まさに唯一、ほとんどの法規の内容を作り出すことのできる機関なわけですね。ですから「唯一の立法機関」なわけです。

しかし、最近は、その「唯一の立法機関」としての意義が問われ始めています。それはどういうことなのか、次のページで解説しましょう。

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