文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)

「景気は回復傾向」とのコメントが聞かれるようになった昨今ですが、実感していますか?平成17年調査では、貯蓄のない世帯が全体で昨年より増加、過去最高の23.8%となっています。そろそろボーナスシーズンですが、貯蓄についての実態を、金融広報中央委員会の「家計の金融資産に関する世論調査」からレポートしましょう。

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貯蓄がない世帯が全世帯の約4分の1(1P目)
この1年で、貯蓄は増えた?減った?(2P目)
貯蓄を取り崩して、何に使ったか?(2P目)

貯蓄がない世帯が全世帯の約4分の1

コイン
貯蓄を保有していない単身者が4割も!
日本銀行の金融広報中央委員会が毎年行う「家計の金融資産に関する世論調査」では、日本の家計の金融資産の平均額や、金融商品の内訳を知ることができます。この調査は全国1万世帯を対象に実施し、今年の回収率は32.4%でした。

景気回復といわれつつ、国民のフトコロは、差が拡大。この調査からは、「貯蓄をしたくてもなかなかできない」という声が聞こえてきます。
◎「貯蓄を保有していない」・・・23.8%
 ・貯蓄を保有していない2人以上の世帯・・・・・ 22.8%
 ・貯蓄を保有していない単身世帯・・・・・・・・・・41.1%
となり、それぞれ昨年を上回っています。

この調査のいう「貯蓄」とは、公共料金や1~2ヶ月先のクレジットカードの支払いなどのために一時的に預けている預貯金を除いた貯蓄を指します。単身世帯で貯蓄のない世帯が4割を超えているというのが現実です。

その一方で、
◎貯蓄のある世帯が平均して保有する貯蓄の額は1,544万円、中央値が830万円
となっています。「持ってる人は持っている、無いところには、無い」という二極化現象ですね。

この調査とは別の、日銀が発表している「資金循環統計」では、家計が保有する2004年度末の金融資産残高は1416兆円で、その前年度末と比べると5兆円増加しており、1999年度末に次いで過去2番目の高水準です。その増加の要因は投資信託や個人向け国債が増えたためですが、家計の金融資産の半分以上を占める現金・預金は0.5%減少しています。余裕資産の残高が伸び、生活に必要な資金は取り崩していっている様子が伺えます。資産を持っている人の残高が、全体を引き上げているようですね。

現在、日銀で最も注目している景気指標は、消費者物価指数。物価が前年に比べて上がったか、下がったか、を示す指標です。これが前年比でマイナスの縮小やプラスになるということは、物価上昇を表します。ということは、収入が増えなければ、貯蓄が減るのは当たり前?

この現実を、「景気回復」と言って良いのでしょうか・・・。次のページでは、貯蓄のある世帯について見ていきましょう。