この1年で、貯蓄は増えた?減った?
貯蓄額の二極化は単身世帯の特徴?! |
◎前年より貯蓄残高が「減った」・・・45.8%
◎前年より貯蓄が「増えた」・・・・・20.7%
ここで目に付くのは、単身世帯の状況です。
・単身世帯で「減った」・・・38.6%(前年比4.9ポイント増加)
・単身世帯で「増えた」・・・26.7%(前年比1.8ポイント増加)
単身世帯では、前年と変わらないという世帯が減り、前年より貯蓄が減ったか、または増えたという世帯が多かったのです。どうやら、単身世帯に大きな変化があったようです。
そこで、回答世帯を年齢別に見たデータを併用して考察してみましょう。単身のうちの未婚者が多いと思われる20歳代と、配偶者を亡くした高齢の単身世帯と思われる高齢世帯に着目してみました。
年齢別データ(単身、2人以上世帯の合計)では、
◎貯蓄が前年より「減った」
・60~70歳代で最も多く48.9%
・20歳代で最も少なく27.5%
このことから、高齢世帯では、貯蓄を取り崩しながら生活をしている姿が浮き彫りになります。
この世代別データでは、前年より貯蓄が「減った」と回答した世帯が「増えた」と回答した世代より少なかったは、唯一20歳代だけでした。「減った」が27.5%、「増えた」が43.5%です。30歳代~50歳代はそれぞれ、「減った」が4割強、「増えた」が2割強という結果です。20歳代が就職直後の変化が大きい世代だという特殊要因もあると思われます。
貯蓄を取り崩して、何に使ったか?
収入が減って、貯蓄は取り崩し |
圧倒的に多かったのは、
・「定例的な収入が減ったので貯蓄を取り崩したから」・・・51.3%
単身世帯ではこの回答が61.5%と平均を大きく上回っているほか、前年の45.9%から15.6ポイントも増加しており、収入源による貯蓄の取り崩しが鮮明になっています。
次に、
・「こどもの教育費用、結婚費用の支出があったから」・・・29.5%
・「耐久消費財購入費用の支出があったから」・・・29.1%
それ以下の
・「土地・住宅購入」・・・12.7%
・「旅行、レジャー費用の支出」・・・11.3%
を大きく引き離しています。
これらの理由から、貯蓄はゆとりのある生活のために使われているのではなく、日々の生活資金として取り崩されていることがよくわかります。これが国民の実態ということです。
今年は、投資を始める人が増えてきたことも、これらの結果と関係はありそうです。収入が増えない一方で物価は上がり、貯蓄を取り崩す・・・。それなら物価に応じて資産が殖える(かもしれない)株式投資で資産づくりを、と考える人が増えてきたのではないかと推測されます。金融政策も、各景気指標とのにらめっこが長らく続いていますが、今度こそ上手なタイミングでの政策で景気の舵取りを上手に行って欲しいものですね。
【関連サイト】
家計調査が語る景気の流れ 収入も消費もアップした16年度
2005年シングルの貯蓄・負債の平均はいくら?(All About「シングルのためのマネープラン」ガイドサイト)
家計の金融資産に関する世論調査(金融広報中央委員会)
【関連リンク】
「世相を読むデータ~景気指標や経済データ検索」