(2004.07.01)

1ページ目 【「ヨーロッパ大統領」「EU憲法」が誕生!】
2ページ目 【EUの歴史、まずは基礎知識をおさらい】
3ページ目 【新憲法で変わるEUの政治体制、基礎知識】

●こちらも要チェック! 政治についての基本知識と基本用語
気になる地域(北朝鮮・イラク)

【「ヨーロッパ大統領」「EU憲法」が誕生!】

どんどん超国家的要素を強めていくEU

EU(ヨーロッパ連合)は、6月18日の加盟国首脳会議で「EU憲法」を採択しました。

いままでも基本条約として「憲法」とよばれることのあった条約はあったのですが、こんどの憲法はこれまでのものとは違う、まさに憲法という感じの画期的なものになりました。

まずは(1)ヨーロッパ大統領と外相を常時設置することになりました。これによってEUの一体性、超国家的な機能がますます増すことになったわけです。

また、(2)国民の直接選挙によって選ばれていたものの、それまで単なる諮問機関にすぎなかった欧州議会に、一定の立法権を与えることになりました。また、通商政策など担当の欧州委員長の選任権が欧州議会に与えられ、より民意が反映される形になりました。

さらに(3)ヨーロッパ市民の基本的人権を明確に定めたヨーロッパ市民基本権憲章もまとまりました。刑事上の適正な手続き、死刑の廃止、患者へのインフォームド・コンセント(事前の意思確認)、プライバシー権、知的財産権の保護などが規定され、まさに「憲法」といったおもむきになりました。

と、いろいろありますが、やはりヨーロッパ大統領を作る、というところがすごいですね。EUはもはやただの国家間組織ではなくなったということでしょうか。まさに国家の上の国家、超国家です。

ヨーロッパ大統領、新設の背景

ヨーロッパ大統領を新設することになった背景には、拡大し小国の加盟が飛躍的に増える今後のEUのもとで、あくまでドイツやフランス、イギリスなど大国によるリーダーシップを確保しなければならない、という思惑もありました。

EUは2004年から一気に加盟国が増えて、25ヵ国体制になりました。新たに東欧から、ポーランドやハンガリー、チェコ、バルト三国などが加盟し、加盟国は15ヵ国から一気に25ヵ国にまで増えたわけです。

いままでは、最高意思決定機関である欧州理事会(各国の首脳会議)の議長は半年ごとの輪番制、つまり当番制だったのですね。しかし、それだと拡大したEUでは、経済力のない小国の首脳が長い間議長をつとめることになる。

これでは今後の運営に支障をきたす、ということで、これからは欧州理事会が任期2年半、さらに1回の再選も可能な常設の議長を選任することにしたのです。この議長が、いわゆるヨーロッパ大統領です。

つまり、小国の加盟が増えたことに対抗して、議長を輪番制から常任化し大統領とすることによって、大国主導で継続的な政策を行うことができる、というのがフランス・ドイツ・イギリスなどの大国の思惑です。

つまり議長常任化して大統領化させてしまえば、なかなか小国の首脳が大統領になることはないだろう、常に大国の首脳が大統領となり、大国のリーダーシップが今まで通り発揮できるという考えです。

もっとも、EUの基本方針は欧州理事会で決まることにかわりはなく、大統領が自分の思惑通りリーダーシップを発揮できるかどうかは、大統領の個人的資質に関わってくることでしょう。加盟国との緊密な関係構築、意見調整が大きな仕事になります。

また、実質的な政策を決定する閣僚理事会では、決定の際、賛成国の人口が一定の割合をこえなければならなくなりました。

これも、人口の多い大国に有利な措置といえます(この点、小国は猛反発しましたが、結局妥協しました)。>>くわしくは3ページで解説しています。

発展したきたEUの歴史

それにしても、EUの発展ぶりには目を見張るものがあります。EUは現在世界各地域で取り組まれている経済統合のパイオニアで、各地域の経済統合もEUをめざしていますが、なかなかこうまでうまくはいきません。

そう、EUがここまでくるには、長い歴史があったのです。次のページでは、そんなEUの発展について、簡単にかいつまんでお話することにしましょう。