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1000億が簡単に手に入る国・ジンバブエ(2ページ目)

1000億円は庶民には決して手に入らないお金ですが、1000億ジンバブエドルなら簡単に手に入ります。超インフレが起こっているジンバブエの日常は?

執筆者:鳥羽 賢

インフレの下で暮らすとは?

では、このような超インフレになった世の中で暮らすというのは、一体どのような生活なのでしょうか? いくつか素朴な疑問に答えてみます。

給料も上がるの?
物価が上がって紙幣が街に溢れかえると、それだけお金の流通量が多くなっていることを意味します。そのために給料も上がっていきますが、物価の上昇には追いつかないことがほとんどです。そのために、一般労働者の生活はやはり苦しくなります。

どうやってお札を持っていくの?
前ページの写真で見たような、大量のお札をどうやってお店まで持っていくのでしょうか? 当然ながら、箱に入れて車やそれこそトラックで運んだり、あるいはバイクで運んだりと、「荷物」を運ぶような感じです。

お店の人はあれを数えるの?
お店の風景
ジンバブエのあるお店での風景。大量の札束を抱えている。画像提供:Zinbabwe.NET
ケースバイケースです。100枚くらいまでのお札なら、1枚1枚数えて正確にカウントします。しかし前ページの画像にあるような束だと、1枚1枚数えていたらキリがありません。そこで「束」を単位として数えます。1束1束数えていくということになります。

1束は100枚程度が一般的です。ですので、ある束が100枚ではなく99枚や98枚でも分かりません。ここまでお札が溢れると、1枚くらい少なくてもほとんど意味はないということですね。

インフレ下の消費者の行動

超インフレが起こると、お金の価値が1日ごと、あるいは1時間や1分ごとに下がっていきますので、紙幣を保有する意味がほとんどありません。そこで他に価値のあるもの、たとえば外貨、土地、金、その他の製品に換えて保有しなくてはいけなくなります。

ジンバブエは外貨が不足しているので簡単には手に入りません。そこで消費者は、比較的手に入りやすい一般の製品に換えようとします。お金を保有する意味がなく、持っているとすぐに価値が目減りするので、少しでも早く物に換えようとします。

そこで毎月労働者の給料日になると、みんな一斉に物を買いにお店に走ります。日本でもどこの国でも給料日に労働者が消費行動に走るのは一緒ですが、インフレのためにそれにさらに拍車がかかっているような感じですね。

このようにとんでもないジンバブエのインフレですが、一体なぜこのようなことになってしまったのでしょうか? 次回は、ここまでインフレが悪化した原因を分析してみたいと思います。


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