あなたは普通の人間?それとも合理的に考えられる人? |
あなたなら、どちらを選ぶ?
【質問1】 a.とb.のどちらを選びますか?a.80万円もらえる
b.100万円もらえるが、15%の確率でもらえないことがある
【質問2】 c.とd.のどちらを選びますか?
c.80万円を支払う
d.100万円払うのだが、15%の確率で払わなくても良い可能性もある
先に紹介した、2002年のノーベル経済学賞のカーネマン教授の研究では、多くの人が質問1でa.を選びました。質問2では、d.を選んだ人が多いそうです。
つまり、得をするときには確実に、損をするときには計算上の合理性よりも、自分の心に左右される傾向があるということです。統計学的に確率の計算をすると、期待値を用いた合理的な考え方は以下の通りです。
【質問1】
a.の期待値は80万円
b.の期待値は85万円・・・b.の方が利益を得るチャンスが大きい
【質問2】
c.の期待値は-80万円・・・c.の方が損失を被る機会が少ない
d.の期待値は-85万円
多くの人は、合理的な判断に欠けているということがわかります。株式投資などをするときに、「損切りは早く、利は伸ばせ」という格言がありますが、多くの人がその逆を行ってしまうということです。直感でb.とc.の組み合わせで物事を考えられる人が、堅実な投資をすることができるでしょう。
行動経済学をどう活かすか?
先ほどの質問で、うまくいかない投資判断をしてしまうタイプだということが分かってしまったあなたの場合、投資にはチャレンジしない方がよいかというと、そうではありません。商売やビジネスは人の心理を利用すると成功する? |
自分の性格を知って、それをなるべく出さないように日ごろ気をつけながら冷静に判断しようとか、この性格は治しようがないのだから、熱くなる前に一歩引こうとか、自分のスタンスをはっきりさせるために活用するためには、とても良いツールだと思います。
また、ビジネス戦略を練る上でも、行動経済学は非常に役立ちます。
商品の価格設定や、企画のプレゼンテーションの場面で、同じ数字を使うにも人の心理を交えた表示方法やキャッチコピーで工夫すると良いのではないでしょうか。今しか買えない、ここでしか買えない「限定品」が売れるのも、人の心理を上手に利用した作戦ではないかと思います。
他にも、クライアントとの折衝の場で、たとえ不利なことでも状況を明らかにクライアントに伝えておいて話を進める場合と、不透明なプレゼンのまま「後日はっきりします」を繰り返している場合では、クライアントの印象は違うでしょう。同じリスクを抱えているにしても、よく分からないで不安な状況の下でのリスクと、メリットとデメリットを明示されてこれだけのリスクがあるよ、といわれている状況でのリスクでは、人間の受け止め方が違います。
このように行動経済学は、投資家の行動やビジネス上の駆け引きで、応用が期待されている新しい学問です。一般の人々の間でも、この考え方は、日ごろのビジネスコミュニケーションツールとしても面白く使えるのではないでしょうか。
【関連サイト】
「あの時売っておけば!」の呪縛
投資は憎らしい知人と共に!
合理的な投資行動ができますか?(All About“マネープラン入門”ガイドサイト)
合理的な投資行動?(2)(All About“マネープラン入門”ガイドサイト)
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