文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
カネボウが産業再生機構の支援を受けることが決定して1年が経過しましたが、2005年5月12日、東京証券取引所はカネボウの上場廃止を決めました。再生途中の今、なぜ?と思う疑問もあるでしょう。私たち国民が忘れてはならないのは、産業再生機構による支援は国民の税金を使って再生するということ。上場廃止の理由や経緯と、問題点を探っていきましょう。
カネボウ商品
カネボウって再生するんじゃなかったの?上場廃止ってどういうこと?


<INDEX>
カネボウってどうなっていたの?(1P目)
カネボウ株は、これからどんな手続きになる?(1P目)
カネボウの頑張りはどうなの?(1P目)
上場廃止判断、迷った東証(2P目)

カネボウってどうなっていたの?

一時は大きく取り上げられていた、カネボウ問題。時間とともに風化してしまっていますので、ここで復習。

2003年10月 花王と事業統合で合意
2003年12月 花王との統合延期を発表
2004年 1月 統合でなく花王へ化粧品事業売却へ方向転換
2004年 2月 化粧品事業の花王への売却断念、産業再生機構活用へ方向転換
2004年 3月 産業再生機構がカネボウ支援を決定
2004年 5月 化粧品部門独立、事業再生計画発表

カネボウは再生計画の中で、経営陣が総入れ替えになりました。新しい経営陣が、まず過去の帳簿チェックをしたところ、続々と経理のごまかしが発覚したのです。架空売り上げ、子会社の損失隠し・・・、巨額の粉飾決算の判明です。
その規模は、過去5年間で粉飾決算が2,000億円にも上り、9期連続で債務超過だったことがわかりました。

2004年10月に、カネボウは旧経営陣による粉飾決算の疑いが浮上したことを公表しました。それを踏まえて東京証券市場では、カネボウ株を「監理ポスト」に割り当てて、上場廃止基準に該当するかもしれないことを投資者に知らせながらの取引が続いていたのです。

カネボウは、10月に発表した調査結果を元に、訂正有価証券報告書を2005年5月2日に関東財務局に提出しました。東証は、その訂正有価証券報告書を踏まえて、カネボウ株を6月13日に上場廃止することを決定したということです。

カネボウ株は、これからどんな手続きになる?

「整理ポスト」に移されて1ヵ月間は売買ができます。6月13日以後は証券取引所での売買はできなくなります。
東証
株券は紙くずになるの?上場廃止って?


上場廃止、というと「紙くずになっちゃうの?」という質問も多いのですが、上場廃止というのは、株式を売買するために株式市場を使うことができないということです。仮に、個人的に「私の持っている株式を買ってください」「ハイ、いいですよ」と商談成立したら、その人たち同士で価値を判断し、相対で売買することは可能です。

カネボウの頑張りはどうなの?

上場廃止が決定した後にカネボウや産業再生機構が発表したコメントによれば、カネボウは2004年9月末には債務超過を解消し、その上、有利子負債も2004年3月に比べて、約5,000億円圧縮したとのこと。財務体質の改善は急スピードで進んでいます。
ホームプロダクツ(入浴剤、ボディソープなど)、医薬品(葛根湯などの薬)、食品(フリスクなどのお菓子)の3事業を中心としたコア事業の収益力は、事業再生計画を上回るほどに回復しているとのことです。

そのため、今後も産業再生機構はカネボウの支援を続けると意思表示をしています。
カネボウのメインバンクである三井住友銀行も、引き続き産業再生機構に協力して支援を継続するとのことです。

次のページでは、上場廃止決定の裏側に迫ります!