障害調整生命年(DALY)の主要因となるうつ病
新しいうつ病予防法について述べた書籍『マインドフルネス認知療法―うつを予防する新しいアプローチ』 |
障害調整生命年とは「年」を使って表される指標で、以下のような式で計算されます。
障害調整生命年=早期死亡による余命損失(YLL)+障害による余命の損失(YLD)
では、等式の右側にある2つの概念について簡単に解説します。まず「早期死亡による余命の損失(YLL)」ですが、これは事故や病気などで人が死亡した場合、それによって失われた年数を表すものです。
たとえば、ある国の30歳時点での平均余命が50年であり、ある男性が30歳で事故で死亡した場合は、そこで50年分のYLLが加算されます。それを国民全体で集計することによって、その国のYLLが算出されます。
そしてもう片方の「障害による余命の損失(YLD)」は、各種障害や寝たきりなどによって、失われた余命の年数を表したものです。YLDの場合は障害の度合いによって、失われた年数の計算が変わります。
たとえば、ある軽い障害なら1年の人生が健常者の0.8年分に相当すると見なされ、YLDは1年あたり0.2年として計算されます。そしてもっと重い障害だと、健常者の0.3年分にしか相当しないと思われ、YLDは1年あたり0.7年になります。
WHOの調査では、2000年の時点でうつ病は世界全体の障害調整生命年の4番目に大きな要因であり、また2020年までには第2の要因になると予測されています。一方15~44歳の層では、すでに第2の要因になっているという結果が出ています。
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