介入の戦略もいくつかある
為替の動きを伝えるボードの陰に介入の手が? |
為替介入は、先にお伝えしたとおり、マーケットという戦場で、敵と戦うものです。為替介入の方法はいくつかあるのですが、代表的なのは以下の3つです。
●単独介入
政府(日本の場合は財務省)・中央銀行(日本の場合は日本銀行)が独自の判断で為替介入を行うこと。
●委託介入
海外時間(ロンドン、ニューヨークなど東京マーケットが開いている以外の時間帯)で、介入の必要性があった場合に、海外の中央銀行に対して介入を委託すること。
●協調介入
各国の中央銀行がお互いに緊密な連絡をとリあって、ほぼ同じ時期に複数の中央銀行が介入を行うこと。一番効果が上がる方法。
覆面を被って為替取引?
為替介入の奇襲攻撃のことです。2003年前半に、よく耳にした「覆面介入」という言葉ですが、これは正式な名前ではありません。日銀がこっそり一部の銀行に円売りドル買いを発注して、その為替介入をしたことを公表しないでいたことを、そう読んでいます。マーケットでかけひきをしているわけですから、この「こっそり」が戦略だったのです。
もう少し、具体的に説明しましょう。
例えば、円高が進んでいるときに、日銀が円売り介入をしていることを公表せずに円を売っているとします。円に対しての大量な売り物が出てきている事実は分かるのですが、それが日銀の売りとは誰も思っていない、マーケットには円を売りたい投資家が集まってきたのだと錯覚するわけです。
すると、円を買おうとしている人たちも、ちょっと待てよ、と勢いを止める効果があるということです。
実際に覆面介入をするときには、日銀が依頼する市中銀行を絞って、一回あたりの介入金額を少なくするように、ばれない努力をしているようです。
為替介入にもマナーがある?
円の価値は日本の信頼性にかかる |
中央銀行による為替介入は、通常、相手国の通貨当局に対して事前に知らせるなどのマナーが暗黙のうちにあるようです。
それなのに、2003年に日銀が大規模、かつ断続的な覆面介入を行ったため、日銀の介入のやり方に対して、諸外国はもとより日本国内からも非難を浴びました。
日銀のマナー違反はとりあえず成功したかに見えているかもしれませんが、国際的な市場参加者から、信頼を失ったともいえるのではないでしょうか。情報公開を積極的にしようという世の中の流れに逆行した「だまし討ち」を行ったのでした。それが国際金融間で、尾を引かなければ良いのですが・・・。
【関連サイト】
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