文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
このごろ「監理ポスト」という耳慣れないところで売買される株式が目につきます。2004年11月5日に突然、日本テレビ放送網が東証の監理ポストに割り当てられて、何事?と思ったら、情報開示の訂正があったとのこと。その日、日本テレビが、有価証券報告書に記載されている一部分について、訂正報告書を関東財務局に提出したと発表しました。あれ?似たような話がその前にもありましたね。10月13日には、コクドが大株主となっている西武鉄道株で、コクド名義以外に実質的にコクド所有の株式などがあり、それらを合計すると西武の上場基準に違反することが発覚しました。
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日本テレビ、西武鉄道・・・、いったい何の騒ぎ?
なぜ上場廃止の基準に該当するのか?~西武のケース~
これから透明になるか?情報開示
日本テレビ、西武鉄道・・・、いったい何の騒ぎ?
有価証券報告書というのは、投資家が投資を行うときに、十分な投資判断ができるようにするために公表する情報が盛り込まれた冊子です。そこには、事業の状況、財務状態、経営成績などの財務諸表が書かれているものです。
その有価証券報告書の中で大株主の状況を公表しているのですが、ここを訂正するという発表です。
2004年3月期の有価証券報告書で発表されている株主は以下の通りでした。
西武鉄道、伊豆箱根鉄道、カネボウ、日本テレビ、三谷産業・・・きりがない!情報開示の不適正 |
◎読売新聞グループ本社 8.4%
◎渡辺恒雄会長 6.35%
今回の訂正は、渡辺会長名義分について、「実質所有者は株式会社読売新聞グループ本社である」と注記を付けた点です。
渡辺会長は名義を貸しているということになります。株券は新聞社が保管、配当も新聞社が受け取っていて、税金の処理なども新聞社が行っていたとのことです。
これによって読売新聞グループ本社の保有比率は14.75%に上昇することになります。
読売系の経済ニュースのサイトでは、この記事に「こうした実態は税務当局にも報告し、了解を得ていた」と言い訳のような一文が添えられていました!
ところでこの日本テレビ株は東証に上場している株式です。東証は、この日テレ株が上場廃止基準に抵触する可能性があるとして、「監理ポスト」に割り当てました。記載に関する調査のためです。
監理ポストでは執行猶予中の銘柄が・・・ |
監理ポストというのは、上場している有価証券が、上場廃止基準に該当するかもしれないという場合に、その事実を投資者に知らしめて、投資者がこれに対応する措置がとれるように(心の準備をしろ、ということです)その株券を割り当てて売買されるところです。
新聞の株価欄の一番最後を見てみてください。そこにいます。監理ポストにおかれても売買はされます。当然、「いらないよ」ニーズが高まるので、株価は安くなるのが通常です。
この審査が終わり、上場廃止基準に該当しないことが明確になれば、通常の取引に戻ります。逆に上場廃止基準に該当することとが判明すると、「整理ポスト」に移行することになります。
整理ポストは、上場廃止が決まった銘柄を、整理のために売買できるようにするためのもので、その銘柄は、原則として1か月間売買を行わせた後に上場を廃止することとになっています。
次のページでは、上場廃止が決定した西武鉄道のケースを見て行きたいと思います。