(2003.08.07)
1ページ目 【オーストラリアはまだ「完全独立」していない?】
2ページ目 【オーストラリアにいまだ残る「総督独裁制」】
3ページ目 【人種の「るつぼ」としてのオーストラリア】
【オーストラリアはまだ「完全独立」していない?】
独立記念日のないオーストラリア
●こちらも要チェック! 政治についての基本知識と基本用語
オーストラリアは、もちろんれっきとした独立国です。各国に大使を派遣していますし、国連にも加盟しています。しかし、そんなオーストラリアで「独立運動」があるというのです。いったいどういうことでしょう。
オーストラリアは1901年、オーストラリアにあった7つのイギリスの植民地が「連邦」としてまとまり、「自治権」を獲得したことが国としての歴史の始まりです。その後、国際連盟や国連に加盟、独自の国歌も制定され、「独立国」としていまでは認められています。
しかし、「いつ独立したか」というのがいまひとつわからないのですね。1948年まではオーストラリア国民は自動的にイギリス国民ということになっていましたし、通貨がポンドからドルになったのは1966年。1975年までは、最高裁に当たる連邦最高法院の判決に不服な場合、イギリスの枢密院司法委員会に上訴することができたのです。そんなことで、「独立記念日」は定められていません。
さらに、イギリスがオーストラリアの独立を正式に認めたのは1986年になってからのことです。それまではイギリスでは法的にはオーストラリアはイギリスの「自治領」であり、オーストラリアに対する支配権をもっていたのですね。
しかしそれでも、オーストラリアは完全に独立していない、と考える人もたくさんいます。それは、いまだにオーストラリアの国王はイギリスの国王であり、その代理である「総督」が法的にはオーストラリアを支配する形になっているからです。
そんなこともあり、オーストラリアの国旗にはいまだにイギリスの国旗、ユニオンジャックが残ったまま。オーストラリアの紙幣にも、若き日のエリザベス女王の肖像が掲載されていたりしています。
とはいえ、オーストラリアのようにイギリス国王を国家元首に戴いている国はカナダやニュージーランドなどほかにもあります。しかし、オーストラリアではこの制度をやめ、自前の国家元首を戴く共和制にしようとする運動がさかんになっています。いったいなぜでしょうか。