文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
いよいよ開催まで50日を切ったアテネオリンピック
オリンピックの開催国は、IOC(国際オリンピック委員会)の総会で、開催の7年前に決定します。通常は、決定すると、競技場の建設や交通網の整備でその国の景気が良くなります。過去の例では、オリンピックイヤーに向けて、その国の通貨や株価が上昇するのがほとんどでした。そんな中、今回のアテネ大会はちょっと違うようです。

オリンピックって北京の次にアテネだっけ?と思わせるほど、4年後の北京、中国に対する投資意欲の方が活気づいている印象を受けてしまいます。さあ、開催まであと50日を切ったアテネオリンピックの現状から、ギリシャの経済を見ていきましょう。

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予算オーバー?(1P目)
競技会場がまだ出来ていないなんて!(2P目)
遺跡ツアーは大人気(2P目)

予算オーバー?

オリンピック招致運動は2008年開催の北京に敗れた大阪の記憶が新しいと思いますが、地域の活性化を目的に、時間とお金をかけて、それでもなおそれ以上の経済効果が期待できるから「オリンピックをわが国で!」となるわけです。

ところが今回のアテネ大会、開催前にして既にギリシャ財政の圧迫要因となっているようです。ロイターの報道によれば、ギリシャ財務当局から、アテネ五輪の開催費が60億ユーロに膨らむとの見通しを発表しています。これは約8100億円で、当初の計画の30%を超える額となります。

予想以上にかかるコストは、関連施設の建築費、警官や医者への特別給与、テロ対策などに使われるということです。
例えばこのテロ対策費、警備員や保険に使われるわけですが、テロ対策費用だけでも、欧米への放映権料が吹っ飛んでしまう金額に上る模様です。

このオリンピック関連費がギリシャの財政を圧迫する要因ともなっています。
ギリシャの財務相によると、2004年の財政赤字は国内総生産に対して3%を超える見通しのようです。国の赤字が国の収入の3%を超える、という意味です。
オリンピック施設の修繕費がギリシャ財政を圧迫

この3%は、ヨーロッパの国にとっては大きな意味を持っています。欧州連合に加盟するに当たり、財政赤字の対国内総生産比率の上限は3%なのです。つまり、欧州連合に参加するギリギリラインまで赤字を背負ってしまいそうだということです。そのため、削れるところから予算を削ろう、ということで、記念碑の建設を中止したりしているようです。この記念碑、メインスタジアム近くに有名建築家に作ってもらうものだったそうですが、残念なことですね。

ところでこのオリンピック関連の建設、開催を目前にした6月中旬時点で、競技場がまだ出来上がっていないことをご存知でしょうか。
次のページでは、まだ建設中の競技場などの状況についてお伝えします。