社会ニュース/よくわかる経済

日本の明暗を分かつ“中国特需”(2ページ目)

世界の工場としての役割を担ってきた中国が巨大な消費市場に変化しつつあります。この特需は続くのか?恩恵を受けた日本経済への今後の影響は?中国を取り巻くリスクは?中国経済の基本と現状をお伝えします。

執筆者:石原 敬子

■楽観派VS慎重派内閣府経済社会総合研究所では、5月11日に、中国の経済成長についての国際セミナーを開きました。そこでは、楽観論と慎重論が交錯していたようですので両者の意見をご紹介します。【楽観的な見方】「6―8%の成長を持続することは可能」「中国の通貨、人民元について、切り上げは実施すべきだが、中国のぜい弱な経済システムを考えると変動相場制への移行で資本管理をいきなり廃止すべきではない」「経済成長の持続を前提に、段階的に為替を自由化すべきだ」【慎重な見方】資産価格の下落でバブル崩壊を経験した1990年代前半の日本のようになることを懸念しているようです。「成長が持続するかは不透明。外資に国内市場を開放しているためいったん問題が起きると資本流出が起きる」「中国経済は富の再分配がいま一つうまくいっていない。過去の一人っ子政策の影響で社会が豊かになる前に高齢化が進む」●一人っ子政策、その後ここで、慎重派の取り上げた一人っ子政策について触れておきます。中国国家人口計画出産委員会は5月8日、昨年末で12億9227万人だった中国の人口が2043年に約15億5700万人に増加、その後は16億人近くで横ばいになるとの見通しを明らかにしました。中国は1980年代から産児制限策「1人っ子政策」を実施し、人口増の抑制を図っています。これについて、男児数が女児を大幅に上回る不均衡や急速な高齢化などの「構造的矛盾」が大きな問題になっているという指摘があります。■中国を取り巻くリスクはこれだ!現状では、中国政府がソフトランディングを狙った政策を打ち出してはいるものの、中国を取り巻くリスクを頭に置いておくことは必要です。どんなことがリスクとして考えられるかというと・・・。★特需の影響。中国への投資の過熱から素材・エネルギーの価格高騰⇒世界経済の波乱要因★人民元の切上げ★突然の法規制の変更★4大国有銀行の不良債権問題★電力不足★一人っ子政策による急速な高齢化★農村と都市部の地域格差最後に、次のページで、今後の中国と、それが日本をはじめ東アジアへ及ぼす影響について見てみたいと思います。
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