「過労自殺」の労災認定は60%増! それでも「狭き門」?!
疲れた体にムチ打ちながら、残業に明け暮れる毎日。人間の体は「働く機械」ではないのに……。 |
※ ある社会環境にうまく適応できず、心身に様々な症状をきたす病気。職場不適応や不登校など。
このうち自殺については、
■労災請求件数…… 2005年度147件→2006年度176件、約20%増!
■「過労自殺=業務上の自殺」が認められた件数…… 42件→66件、約60%増!
請求件数が約20%増える一方、「過労自殺」の認定件数は、約60%アップの大幅増! ただ、5年間の傾向を見ると、認定件数は請求件数の約3分の1に留まり、残りの3分の2は労災が認められずじまい……。自殺の労災認定は「狭き門」?
(「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況<平成18年度>について」より)
精神障害の労災請求・認定は、30代がダントツ!
次に、年代別の違いをチェック! 「過労自殺」を含め精神障害などの労災請求は、どの年代が多い?■精神障害全体の労災請求件数…… 第1位:30代(35%)、第2位:20代(23%)
■労災が認められた件数…… 第1位:30代(40%)、第2位:20代(19%)
請求・認定件数とも、第1位はダントツで30代! 2位の20代と3位の40代の割合は僅差で、ほとんど同じです。この結果に連動していれば、「過労自殺」もやはり30代が最も多い?
長時間労働が「高疲労」を招く!
では、上記で若い世代が多数を占めているのはなぜ? その大きな原因とみなされているのは、職場の長時間労働。そこで、連合総合生活開発研究所が民間企業で働く人たちを対象に行ったアンケート調査で、「高疲労グループ」(※)が占める割合を見ると、■全体平均46.1%に対し、週の実労働時間が60時間以上(残業含む)に及ぶ人たちの場合は、なんと68.9%!
※ 「憂鬱だ」「体の調子が悪い」など疲労の自覚症状13項目を点数化し、「高疲労グループ」(10点以上)と「低疲労グループ」(0~9点)に分類。
第13回「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート」調査結果の概要より。
両者には約1.5倍もの格差があり、長時間労働が心身の疲労を招くことは間違いなさそう。つまり、長時間労働→心身の疲労→うつ病などの精神障害→過労自殺と、職場の過酷な労働が、最悪の場合「過労自殺」に至る危険性をはらんでいる! 経営者は今一度、
■事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。(労働安全衛生法第65条の3)
という「安全配慮義務」の重責を、しっかりとかみしめる必要がありそうです。
【記事の関連サイト】
●All About「よくわかる時事問題」のサイト
・どう守る? 私たちの心と体の健康
・若いオレたちこそ危ない?忍び寄る自殺の罠
・いじめ・格差社会・自殺・犯罪のニュース
・世の悲しみ・恐怖のニュース
●その他のサイト
・脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況(平成18年度)、厚生労働省
・第13回「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート」調査結果の概要、連合総合生活開発研究所
【ニュースをいち早く知りたいあなたへ、お得な情報!】
「よくわかる時事問題」サイトでは、新着記事をいち早く知りたいあなたのために、ガイド記事の更新案内を月2回メールマガジン(購読無料)でお届け中。ぜひ、ご登録ください!登録はこちらをクリック→ ガイドメールマガジン登録