2ページ目 【県民の「代表」が「代表」をクビにする不思議な制度】
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【どうなる長野県、田中康夫知事】
空前の事態にだれしも予測不可能?
田中知事はまさに「突然」、しかも「何の地盤もなく」知事に当選、就任してきた人です。議会にも味方はほとんどいないまま、県民との対話や個人的なブレーンを基盤とし、数々の急進的な改革を行おうとしてきました。
その最たるものが「脱ダム宣言」で、これに対し県議会が猛反発、今年の2月にはすでに長野県初の「知事問責決議案」が採択されていた、というくらい関係は悪化していました。
今回の不信任決議でも、圧倒的な議員がこれに賛成しています。この議会を解散し、田中知事派の議員がどれだけ増やせるか。増やせないと再不信任決議をうけてしまうわけですから、それを考えると、失職→再出馬の道を選択する知事の戦略はうなずけます。
もっとも、解散してしまえばもしかしたら田中旋風がふたたび吹き荒れるかも、という可能性も否定できません。
今回、不信任決議を推進した最大会派「県政会」から、3人の「造反議員」が出ています。彼らは採択直前で退席、棄権したのですが、かれらのように「ほんとうは田中支持」という議員も少なからずいるという話もあります。
(実際、某議員がやはり退席しようとしたがやめた、ということがあったという話もあります。彼は今年最初の問責決議にも賛成しようとしていました)
この県政会自体、民主党派だったり自民党系だったりする議員の集合体。実際、一枚岩でないことがわかったわけで、これがいろんな形で波及してしまうかもしれません。
さて、もう1つ注目したいことが、県議会にもかかわらず「無投票当選」した人が多いということです。現在60人いる長野県議会議員のうち、選挙区に立候補者がほかにおらず無投票で当選した人は10人もいます。「県民の代表である議員たちが不信任を・・」とはいえ、6人に1人は代表として県民から選挙(投票)で選ばれたわけではない、ということです。
無投票当選した議員の選挙区の多くで田中知事派と反対派の議員が激突したらどうなるのか、予想がつきにくいだけに注目されるところでしょう。
ただ、田中知事も就任当初よりは支持率を落としている状況、地元マスコミの田中知事に対する厳しい論調も目立ちます。日本の地方自治史上「前例のない」状況、このゆくえに目が離せません。