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県知事不信任決議とは?(2ページ目)

脱ダム宣言など急進的な改革を進める田中康夫長野県知事が議会からの不信任決議で窮地に立たされていますが、そもそも県民の代表が県民の代表をクビにするこの制度って? 詳しく解説します。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【強大な権力者「知事」に対する議会の最終兵器】
2ページ目 【県民の「代表」が「代表」をクビにする不思議な制度】
3ページ目 【どうなる長野県、田中康夫知事】

【県民の「代表」が「代表」をクビにする不思議な制度】
県民の意思は「どっち」にあるのか?


アメリカやフランスの大統領がそうであるように、知事ら首長は直接住民から選挙で選ばれます。先の記事でも書いたように首長が行政において大きな権限を持たされているのは、ほかの大統領制の国がそうであるように、「直接選ばれているから」ということがあるのです。

いっぽう、日本の中央政府は国会議員が首相を指名するという議院内閣制です。国会議員が唯一選挙で選ばれた人たちです。その国会議員たちによって首相が決められるしくみになっています。首相のリーダーシップが弱い、というのはこういう事情によるところが少なくなさそうです。

このようなことから、首長と首相では、不信任決議に必要な条件が異なっています。首相は衆議院議員(出席議員)の過半数の賛成で不信任されてしまいますが、首長は「3分の2以上の出席で4分の3以上の議員の同意」と、かなり条件が厳しくなっています。

 

それでも、住民から直接選挙された首長が犯罪行為などを犯したわけでもないのに議会からクビにさせられてしまうのは、どうなのかという声もあります。ほかの大統領制の国でも、議会が(犯罪行為のあった)大統領を弾劾裁判することはあっても、不信任で失職させる、という制度はそうそうないはずです。

たしかに日本の首長、とくに知事の場合、強大な権限をバックに大きな権力を持ち、議会を無力化し県政をコントロールしてしまう例はしばしば見られます。そんな知事に対して、これくらいの対抗手段はあったほうがいいのかもしれません。

しかし知事の強大化は、多くの場合多選(何度も当選すること。場合によっては20年以上も知事をつとめる人も。)が招いているという面があります。不信任という制度よりも、多選の禁止を制度化したほうが効果的かもしれません。

最後のページで、今回の長野県の状況について、簡単に解説しておきましょう。
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