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イスラエル情勢の基礎知識(3ページ目)

混迷を続けるイスラエル/パレスチナ情勢。ここではイスラエル/パレスチナ情勢を読みとくうえで必要な基礎的歴史知識を年表・地図まじえてかんたんに説明します。

執筆者:辻 雅之

【一枚岩ではないパレスチナ勢力】

イスラエル/パレスチナ衝突の泥沼化の背景には、パレスチナ自治政府側の複雑な内部事情も大きく影響していると思われます。

つまり、本来パレスチナの代表であるはずのPLO=自治政府の他にも、独自に活動しているグループが数多く存在していて、状況をややこしくさせているのです。

独自グループの多くは前ページでも説明した通り暫定自治そのものへの反対、イスラエルへの徹底抗戦を主張し、テロなど過激な活動に走っています。

とくに過激なのがイスラム原理主義組織でもある「ハマス」で、90年代後半からたびたびイスラエルの都市で自爆テロを行っています。今月の大規模なテロ事件もハマスが引き起こしたといわれています。

ほかにもパレスチナ解放人民戦線(PFLP)やパレスチナ解放民主戦線(DFLP)らが自治政府とは一線を画して独自行動をとっているといわれています。こんなにバラバラなのでは、収拾がつかないわけです。

もちろん、パレスチナ人のイスラエルに対するどうしようもない不信感も泥沼化の大きな原因です。この不信感が、過激派の行動を後押ししているわけです。

さて今後の情勢ですが、イスラエルはどうやらパレスチナ自治政府がまったくあてにならないとみており、独自にハマスら過激派をアメリカのように軍事攻撃で追い詰め、壊滅させるつもりのようです。

ただ、自治政府内部でもイスラエルに反発する若手集団が台頭しているという情報もあります。かれらがアラファト議長ら現在の主力にとってかわるようなことになると、パレスチナ側は一枚岩になるものの、イスラエルとの交渉はさらに難しくなり、泥沼化がいっそう進んでしまうことになるかもしれません。

また、アメリカがどう関与するかも注目されるところです。アフガンと違い、和平会談を10年にわたって実質とりしきってきたアメリカが、ここで何もしないということは考えられません。

90年代はクリントン大統領に和平推進派のイスラエル政権というペアが多かったのですが、今はタカ派のブッシュ大統領にやっぱり強硬派のシャロン首相。イスラエルでもイケイケの軍事行動が展開されてしまうのかもしれません。パレスチナ和平の道は非常に遠そうです。

〈年表は次ページ〉

▼イスラエル地図
 

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