経済学★超★入門「早わかりケインズ」シリーズ
第1弾 国内総生産(GDP)ってなに?
第2弾 景気と国内総生産(GDP)の関係
第3弾 昔の経済学の主流-古典派の理論
第4弾 世界大恐慌を説明した「ケインズ」<今回>
★ポイント★
1.現実には古典派の主張するように、売れ残りがなくなるまで価格は下がらない。
2.企業は価格を下げずに、むしろ、生産量を減らして対応する。
3.その結果、労働者や工場が余ってしまうので、リストラ工場閉鎖などが起こり不況になる。
4.不況対策としては、政府が需要を増やせば良い。
前回は、古典派の考えだと、経済は常にハッピーな状態、すなわち、好況であるということになり、不況の説明ができないという問題点がある、ということをお話ししました。
今回は、不況をうまく説明したケインズの理論を説明します。いよいよケインズ理論のマスターです!
好況で、買いたい量(需要量)が100個で、売りたい量(供給量)も100個であるときを考えましょう。需要量=供給量ですから、売れ残りもなく、ハッピーです。
いま、株価の暴落などで人々が損をし、需要量が100個から80個に減ったとしましょう。すると、供給量は100個のままですが、需要量は80個に減りますから、20個だけ売れ残ってしまいます。
古典派の理論では、この20個の売れ残りがなくなるまで価格は下落し、需要量と供給量は等しくなります。
しかし、ケインズは、現実経済はそうなっていないと考えました。現在の経済の大部分を占める工業やサービス業は、売れ残りが生じた場合に、売れ残りがなくなるまで価格を下げたりはせず、価格をそのままにしていると考えました。
価格を下げなければ、需要量は80個に減ったままですから、売れ残りはなくなりません。企業は売れ残るものを作っても仕方ないので、本当は100個売りたいのですが、80個しか買ってもらえないので、泣く泣く、生産量を80個に減らします。
もともと、100個売りたいと思ったのは、100個生産するだけの労働者や工場があったからです。ですから、それを、泣く泣く80個の生産量に減らすということは、労働者や工場は余ってしまうので、企業は人員削減や工場閉鎖などのリストラを行います。すると、失業や就職難などが起き、ますます景気は悪くなってしまいます。このようにして、ケインズは、不況をうまく説明しました。