前回の(1)では、アジア諸国と南北アメリカ・オセアニアの主要国の所得税を比較してみました。今度はヨーロッパ諸国の所得税を見てみましょう。ヨーロッパはEUという国家連合があり、通貨もユーロという12ヶ国の共通通貨が導入されています。しかし、税制に関しては各国の自由裁量であり、実に多種多様です。

永世中立国のスイスは他とはちょっと違う

ヨーロッパの主要国所得税率一覧(1)
ヨーロッパの所得税率表
国によってはこの他に地方税が課税される


ヨーロッパは国が多いので2つに分けていますが、まずは前半からです。全体的に見て、ヨーロッパ諸国の所得税、特に最高税率は高めだと言えるでしょう。でも1国だけとても税金が低くなっている国が、スイスです。

スイスはヨーロッパにありながらEUにも加盟していなく、ユーロも導入していません。独自の方向性を持って経済が運営されていて、何よりも金融政策に力を入れています。スイス銀行と言えば、世界中の資産家が資金を預けることで知られています。

銀行業でも世界中から資金を集めることに重点を置いていますが、それは税制でも同じです。スイスは世界の富裕層から資金を集めるために、所得税はかなり低く抑えられています。

表中の税率は連邦税だけですが、それにしても最高税率は13%で、相当安いことがお分かりになると思います。そして連邦税の他に州税があるのですが、これもかなり低くなっています。州税はもちろん州によって違いますが、低~中所得層でだいたい5%程度、高所得層でも10~15%程度が平均的な税率です。つまり、連邦税と州税を合わせた税率は、だいたい5~25%くらいになります。

デンマークは地方税が高い

スイス以外の国をざっと見ると、どこも最高税率は40~50%前後でかなり高くなっていることが分かります。その中でデンマークだけはかなり税率が低く見えますが、これは国税だけしか含まれていないからです。

そしてデンマークでは、地方税の税率がかなり高くなっています。地方によって違いますが、平均すると32.6%もの地方税がかかることになっています。つまり、国税と合わせた平均税率は約40%にもなります。そして地方税と国税合計の最高税率は、59%と定められています。これは日本よりも高いですね。

また、福祉国家として知られているスウェーデンですが、表に書かれている「27~52%」という数字は、国税と地方税を合わせたものです。「税金が高い」というイメージがあるスウェーデンですが、意外と低かったですね。

→そしてなんと!所得税がない国も、ヨーロッパにはあるのです。