(2001年9月4日)

【予算編成はほぼ1年がかりの大仕事(1)】

これから年末にかけて、新聞では「予算編成」の話題が増えることになります。われわれの生活にも大きく関係する「税金の使い道」国家予算を来年どうするか、これからその編成が始まるわけです。

もっとも、予算編成は4月、新たな予算が実施された瞬間から始まっています。日本の予算はよく「財務省(旧大蔵省)主導」とよくいわれますが、一から十まで財務省の官僚たちが予算をきめるわけではありません。じっさいは、むしろ逆です。

まず、各省庁の各局の各「課」が、来年欲しい予算をまとめ、各局の予算関係を仕切る「総務課」に要求します。これが5月末くらいまで。総務課はこれをもとに局の予算要求をまとめ、各省庁の予算関係を仕切る「官房予算関係課(会計課)」に提出します。これは6月末くらいまで。これをもとに、各省庁が予算の要求を財務省にするのが8月末から9月あたまくらいまでです(これを概算要求といいます)。

もっとも、政府・財務省/経済財政諮問会議(3ページ目参照)サイドはだいたい8月はじめごろに、予算要求額の限度額を発表します。これが概算要求基準(シーリング)です。これが、各省庁が要求する予算の目安となります。また、これによって来年度予算の方向性が示されます。

たとえば今年の概算要求基準では首相の公約でもある「歳出削減5兆円」「ITなど重要分野に2兆円」「国債発行額30兆円以内」などがもりこまれたものになっています(いわゆる「5兆、2兆、30兆」というやつです)。

さて、各省庁の予算要求をあつめた財務省は「主計局」というところでその要求の査定を行い、だいたい年末に予算の原案をまとめます。これが「財務原案(大蔵原案)」といわれるものです。これが出ると、「来年の予算はこうなる」という見出しが新聞の一面を飾ります。

このあと、この原案の修正交渉がはじまります。これを「復活折衝(せっしょう)」といいます。これは各省の総務課長と主計局の局員(主査)レベルの交渉からはじまり、決着がつかない場合は各大臣と主計局長の交渉(大臣折衝)や、さらには自民党幹部と財務大臣との交渉(政治折衝)がおこなわれたりして、最終的な政府の予算案が決定します。

ところで、この間国会は何をやってるのか、と思う方もいるかもしれません。しかし日本の場合、予算案の作成は内閣のみが行えることになっているので、予算案が国会に提出されるまで、国会の出番はなしです。

最近はそのかわり、秋に「補正予算」を作ることが多くなっていて、国会議員の関心はこの間はこれに向かっているといえるでしょう(補正予算については次のページで説明)。

さて、国会では憲法の決まりによって衆議院から予算の審議を行い、衆議院で承認されしだい、参議院に送られ、ここでも承認されると予算が成立します。

もっとも、衆議院で承認されても、参議院で承認されない場合であっても、憲法の決まりにより結局衆議院の決定が優先することになっています。また、参議院が30日以内に何の議決もしない場合も同じです。

そのため、衆議院で予算が承認されたら、「予算成立確定」という見出しが一面を飾ることになります。もちろん「遅くとも○月○日までに」ということも確定するわけですね。

もっとも、予算は3月31日までに成立させなければならないというタイムリミットがあります。そのため、このタイムリミットをめぐって、与党・野党のはげしい綱引きがおこなわれることもしばしばです。

もし3月31日までに予算が成立しない場合は、内閣は、公務員の給料など事務的な経費だけを「暫定予算」として、しばらくの間実施することができます。積極的な公共事業や社会福祉政策などはできなくなるので、できれば避けたいところです。

さて、予算編成と並んでこの時期やかましくなるのが「補正予算」です。次ページでは補正予算について解説していきます。