正式な名称は「志師会」。中曽根派のながれをくむ派閥で、森派を離脱した亀井静香グループと合同してこのようにいわれています。合同してからは小渕・森政権を支持する主流派として勢力を伸ばしました。
この派閥の特徴はなんといっても中曽根系であること。これがために保守・タカ派色が森派と並んで強い派閥になっています。
しかし、中曽根元首相と派閥中枢の関係は微妙。今年の総裁選でも、小泉を勝たせたい中曽根元首相が、亀井氏をむりやり小泉支持にまわらせたことには、少なからず不満もあるようです。
また、江藤・亀井氏とならんで自民党内で大きな力をもっていた村上元参議院議員会長がKSD事件で起訴、議員を辞めることになったのは痛手でした。
今後、亀井氏がどのように巻き返していくかが注目です。
●加藤派、堀内派、河野派
2つとも「宏池会」を名乗る派閥。1960年代の高度成長をリードした池田勇人元首相いらいの派閥で、「保守本流」というプライドが強いところです。大平・鈴木・宮沢の3首相を輩出し、森派と第2派閥の座を争ってきました。
そんななか、ポスト宮沢をめぐって加藤紘一元幹事長と河野洋平元総裁が対立。河野派が派閥から飛び出し、加藤氏が派閥を受け継ぎます。加藤派は小渕政権に批判的な反主流派に、河野派は協力的な主流派となりました。
ところが昨年暮れの「加藤の乱」で派閥の結束が急速に崩れ(もともと反主流派をめざした加藤氏に不満をもっていた議員が多かったこともあり)、加藤派と反加藤派に(堀内派)に分裂。どちらも「宏池会」を名乗る異常事態が続いています。
いまのところ堀内派が圧倒的に優勢。加藤派は第6派閥に転落してしまいました。宮沢元首相は堀内派についています。
この3派に共通して言えるのは「ハト派」色が強いこと。鈴木・宮沢首相が靖国参拝に消極的だったり、加藤氏が小泉参拝を最初から批判したりしている点に現われています。
しかし結束はそれほど強くなく、また今ひとつ権力抗争となると迫力に欠ける動きをしてきたことから、「お公家集団」といわれてきました。「加藤の乱」の挫折も、なんだかそんな感じがしたものでした。
今後、この3派がどのような関係になっていくのか、再合同はあるのか、注目されるところです。
●山崎派
山崎拓幹事長をリーダーに中曽根系から離脱してできた派閥で正式名称は「近未来研究会」。現在第5派閥の勢力を保っています。中曽根系なのでやはり保守・タカ派色が強い派閥となっています。
加藤派と結びついて小渕政権を批判、反主流派の色が強かったのですが、山崎氏が小泉政権の幹事長に突如として就任。主流派入りしました。
しかし小派閥なのでなかなか勢力がのばせません。昨年の衆議院選挙では派閥の森田健作氏が、今年の参議院選挙でも派閥の候補が、それぞれ自民党の公認をもらえず苦戦するなど、小派閥ならではの悲哀を味わっています。
今後、こんな苦難にもめげず議員が山崎氏についていくことができるかが最大の注目点でしょう。
●旧河本派
もともと三木武夫が党首だった「国民協同党」系の派閥。政治倫理にうるさく、それでもって存在感をアピールしてきたといえます。三木は首相時代、田中角栄をロッキード事件で逮捕にまで追い込んでいます。
しかし海部元首相が1994年に自民党から離脱した後はこれといったリーダーが不在。今年河本氏も死去、その存在があやぶまれています。高村元外相が後継者と見られていますが、いぜん「旧」河本派の状態が続いています。