【不良債権も財政危機も根っ子は同じ!?】
現在の日本で、巨額の不良債権が新たにどんどん発生しているのは、まさに、このデット・デフレーションが大きな原因なのです。デフレで給料や物の価格が下がるので、個人は所得が増えず住宅ローンの返済が苦しくなりますし、企業は売上が増加せず借金の返済が苦しくなるので、借り手から見れば不良債権が増加してしまうのです。
これは、政府も同じです。日本の借金王は、ゼネコンでも不動産会社でもなく、日本政府なのです。デフレで、個人や企業の所得が減れば、国に支払う税収も減りますので、政府の方では税収が落ち込み、財政赤字が増えてしまうのです。
【デフレ対策の特効薬?インフレターゲット論】
「不良債権問題と財政危機を解決する」というより、それらの問題の「深刻化を避ける」ためにデフレを阻止する必要があります。ここで、「解決する」と言い切れないのは、デフレから多少のインフレになって債務負担が軽くなったとしても、最終的に債務を返済できるかどうかは、借金をしている企業や政府が立ち直れるかどうかという別の問題があるからです。
では、どうすれば、デフレを阻止できるのでしょうか。日銀が紙幣をたくさん刷れば、物価は上昇し、デフレは克服できるという考えがあります。この考えに基づいて、日銀にたとえば物価上昇率2%のように具体的なインフレの目標値を決めさせ、その目標に達するまで紙幣を刷りつづけさせようというのがインフレ・ターゲット論です。
このインフレ・ターゲット論は現在、学者の意見も政府と日銀の意見も対立している最もホットなテーマです。次回は、この「インフレ・ターゲット論」に迫りたいと思います。お楽しみに!
キーワード
★デット・デフレーション★
デフレによる債務負担の増加とデフレの悪循環。デット(debt、債務、借金)とデフレーション(物価の持続的下落)の合成語。デフレは、債務の負担を増加させ、企業や個人の破産を増加させる。そうなると、投資や消費などの需要も減少し、さらに物価が下落し、企業倒産が増加し…と、デフレと倒産の悪循環が起こる。
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