【カナダ/クレティエン首相】
「聖域なき構造改革」の先輩、小泉首相の師匠となるか?
カナダの首相は保守系の自由党(スタンスは自民党に近い)を率いるクレティエン氏。1993年10月の総選挙以来ですから、今回のサミット参加首脳の中ではもっとも古株の人物です。
彼は就任以来、ひたすら財政改革をすすめてきました。そのころのカナダは非常に財政状況が悪かったのです。そこで彼は5年間で国の支出をなんと2割もカット、公務員も14%も減らすなど、徹底した改革を行いました。
あまりの徹底ぶりにかなりの紆余曲折(うよきょくせつ)があったようですが、そのおかげで1999年以降は政府の財政を黒字に転換、2000年暮れの総選挙では黒字の成果の分配ということで逆に大幅な減税を約束するまでになりました。
まさに小泉首相ばりの「聖域なき構造改革」を見事に実現し、順風満帆(じゅんぷうまんぱん)にみえるクレティエン首相ですが、そんなクレティエン政権を悩ましているのが「ケベック問題」です。
ケベックはカナダの主要な州の1つですが、ここにはフランス系住民が多くすんでいて、公用語もフランス語。カナダの中にあって、カナダとは違う独特の文化になっているようです。
このケベック州では以前から独立運動が盛んで、1995年には独立するかどうかの住民投票まで行われるほど。今はあまり独立運動はさかんではありませんが、またいつ再燃するかわかりません。
ケベック州独立問題が再燃すると、せっかく構造改革をすすめて再建してきた経済にも大きな影響が出ることは必至、クレティエン首相(実は彼もケベック出身)にとって非常に頭の痛い問題と言えるでしょう。
このようなことはありますが、やはり構造改革の成功者である彼には小泉首相も学ぶ点が多いと思われます。
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