社会ニュース/よくわかる政治

世界最小国家、バチカン市国とは

世界最小国家、なのにこれほどの存在感を世界に示しているバチカン市国っていったいどんな国なのでしょうか。広さはなんと・・・と同じくらいなんて。

執筆者:辻 雅之


【超超ミニ国家、バチカン】

イタリアの首都ローマにあるキリスト教最大宗派カトリックの総本山、サンピエトロ寺院。実はここはイタリアではなく、1つの独立国となっています。世界最小国家、バチカン市国です。

バチカン市国の面積は44ヘクタール。これとほぼ同じ面積の施設でみなさんにわかりやすいものを探すと・・ありました。東京ディズニーランドです。駐車場とかイクスピアリとかは含めません。正味の部分がバチカンの面積とほぼ同じなのです。

こんな小さい国でも日本をはじめ世界各国に大使を送っていますし、通貨や切手も発行しています。そしてなによりも、バチカンの主「ローマ法王」の知名度は抜群です。今年の春ローマ法王が中東を訪問したというニュースは日本でもかなり大きく報じられました。

「存在感密度」というものがあるとすると、おそらく世界一の国になるのでしょうね。

【なぜこんなミニ国家になったのか】

世界中のカトリック教徒を率いるローマ法王(教皇)は中世、ヨーロッパでは各国の国王をもしのぐ大きな権力を持っていました。北イタリアにはローマを中心とした広大な領土も持っていました。

しかし近代になるとその権力も衰え、1870年のイタリア統一のさい、イタリア王国によってすべての法王領土は奪われてしまいます。法王はバチカンの丘に立てこもってイタリア王国と対立しました。

そんななか、1922年イタリアの政権の座についたファシスト、ムッソリーニは法王の権威をイタリア支配のために利用しようとします。そこで1929年、イタリアと法王サイドの間で「ラテラノ条約」が締結され、ローマ法王の領土としてバチカン市国が誕生するのでした。
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