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韓国・黄教授の栄光と転落(2ページ目)

現在韓国を揺るがしている黄(ファン)教授の論文捏造問題。黄教授はその研究によって国民的英雄にもなりましたが、捏造発覚によって一瞬にしてその座から転げ落ちました。

執筆者:鳥羽 賢

黄教授の研究

臓器移植は提供者の不足が常に問題になっている
ES細胞によって臓器移植の必要がなくなるかもしれない
そこで考えられたのが、ヒトのクローン胚からES細胞を作り出すという方法でした。この方法で患者自身のクローン胚からES細胞を作成すれば、それは患者自身の臓器をもう1つ作ることになり、拒絶反応が起こることはありえません。

そしてその革新的な手法に成功したと発表したのが、黄教授と彼の研究グループでした。黄教授はサイエンス誌に、2回にわたって論文を発表し、ヒトのクローン胚からES細胞を作り出すことに成功したと述べました。

この研究成果は、韓国内に一大センセーションを巻き起こしました。韓国人は黄教授がノーベル賞を受賞する期待を膨らませていったのです。2005年5月2日付けの朝鮮日報の記事では、黄教授は「ノーベル賞を受賞する可能性が最も高い韓国人」と位置づけられました。黄教授の功績は学校の教科書にもすぐに載せられ、また子供向けの黄教授の伝記も発売されました。街には黄教授を掲載した広告も少なからず出てきました。

韓国人の期待の背景

韓国人がここまで黄教授に期待した背景には、これまでのノーベル賞受賞数の少なさがあります。韓国人は世界の中で自国の地位を向上することを強く望んでおり、また日本には強い対抗意識を持っています。日本はこれまで12回ノーベル賞を受賞しているのに、韓国は2000年に金大中大統領が平和賞を受賞した1つしかありません。科学分野では全くないのです。そして黄教授は、韓国人初の科学分野での受賞が期待されました。

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