派閥がかわりつつある原因はなんでしょう。いくつか考えてみました。
まずは、[強力なリーダーがいなくなった]ということです。三角大福中の時代、派閥のボスたちのリーダーシップはよくも悪くも相当強力でした。カネ・ポストの関係だけではなく、多くの子分を従える力がありました。
今、そのようなリーダーたちは姿を消しています。最大派閥の橋本派(田中派→竹下派→小渕派→)や第2派閥の森派(福田派→安倍派→三塚派→)などはボスと幹部の合議制になっています(橋本派;橋本元首相と野中元幹事長ら、森派;森首相と小泉森派会長)。加藤派(大平派→鈴木派→宮沢派→)の加藤さんは「例の一件」で涙目になっちゃうくらいだし。
なんでそうなったのでしょう。私は「三角大福中」の次の世代の挫折に原因があると思います。彼ら「ニューリーダー」とよばれた新しい派閥ボスたち(竹下、安倍、宮沢、渡辺)は自分達の時代になったそうそうから、「リクルート事件」によって傷付き、支配を維持することができませんでした。
「ニューリーダー」の次の世代が育つ前にニューリーダー時代は終わってしまったわけです。また、このときに自民党の分裂もおこり、小沢や鳩山といったリーダー候補が出ていってしまっています。
また、[選挙制度がかわった]ことも原因です。衆議院の選挙は中選挙区から小選挙区比例代表並立制になりました。小選挙区は1人しか当選できませんから自民党の候補者も絶対1人。いくら派閥に応援してもらおうとしても自民党のトップが認めてもらわなければ立候補すらできません。
比例代表制でも党本部によて候補者名簿が調整、決定されます。派閥のプッシュがあるとはいえ、やはり党本部に直接認められる道をとるほうが確実に立候補でき、名簿順位も上位にくるかもしれません。
このようなことから、派閥よりも党本部の力が以前より大きくなっているといえます。
政治資金についても、金権政治への批判から、以前よりも規制がきびしくなっています。派閥のボスがわけのわからないカネをポンと渡す、ということも少なくなっていますし、そもそも派閥にそれだけのカネが集まらなくなっています。
加えて、[自民党そのものの力が衰えた]ことにより、[連立政権となり、従来の派閥の枠組みでは政治ができなくなった]ことも重要でしょう。実際、「森おろし」の火をつけたのは連立政権を組む公明党でした。派閥間でいくら抗争しても、政治の主導権をとれるかどうかは、別問題になってきているのかも知れません。
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