三つ巴の構図へ、さらに複雑化か?

<今後予想されるパレスチナの対立構図>
パレスチナの3勢力図
吹き出し内は、それぞれを支援する勢力。
これまでのパレスチナでは、アメリカに支援されたイスラエルと、そしてイラン、シリア、レバノンなどに支援されているパレスチナの、単純な2勢力の対立構図が基本となっていました。しかし今回パレスチナがガザのハマスと、ヨルダン川西岸のファタハに分裂したことで、イスラエル、ハマス、ファタハの三つ巴の対立構図が始まることになります。

これは一見すると問題をさらに複雑化しそうですが、考えようによってはそうでもありません。というのも、ハマスはほとんどの国に承認されていないからです。アメリカやイスラエルは当然のこととして、エジプトなど周辺の他の国も、ハマスの今回の行動を非難しています。

そうなると、ハマスは完全に「カヤの外」で中東和平交渉が進められていくことになります。イスラエルとファタハだけで和平を進めるのです。それはかえって、ハマスが入っていてイスラエルとの和平に反対していた状態よりは、交渉を進めやすい状態になるとも言えます。

パレスチナの分裂は中国と台湾のようなものか?

これはある意味で、中国と台湾のような国家分裂とも言えます。中台関係では、中国=本流、台湾=亜流、というのが一般的な見方でしょう。中国は多くの国に承認されていて、台湾はあまり承認されていません。また国力としても、中国の方がはるかに大きいのです。

同じ国家分裂でも、東西ドイツや韓国と北朝鮮は少し違いました。東西ドイツの場合は、西ドイツが自由主義諸国、東ドイツが共産主義諸国に属していて、本流・亜流ではなく対等に近い分裂でした。また韓国と北朝鮮も、すでにソ連は崩壊しているとは言え、分裂当時はそのような感じでした。

そういった意味で、パレスチナの分裂は、ヨルダン川西岸のファタハ=本流、ガザのハマス=亜流とする、中台のようなタイプの分裂とも言えます。ただ違うのは、両者の軍事力はかなり均衡しているという点です。

軍事力が均衡していれば、場合によっては将来ハマスがファタハを破ってしまうことも起こりかねません。また2005年末の総選挙で勝ったことからも分かるように、ハマスはパレスチナの一般民からかなりの支持を受けています。これも決して無視できない要素です。

→次ページでは、アメリカやイスラエルとの関わりについて検証します。