これまで、長く暮らすためのポイントとして、定期的な点検やメンテナンスの重要性を、繰り返しお話ししてきました。メンテナンスやリフォームは、住宅の機能や美観を維持するために必要なポイントだということは、おわかりいただけたと思います。では、メンテナンスなどの手入れを全く、もしくは、必要最小限しか行わなかった住宅はどうなるのでしょう? 百聞は一見に如かずということで、実際の物件をご覧に入れましょう。
築70年の家の場合
まず、最初にお見せする住宅は、東京都のSさんが所有する木造住宅。間取りは4DK。この物件は、なんと築70年程度! つまり戦前に建てられた建物です。戦火をかいくぐって、今日まで生き続けたきたこの平屋の住宅は、ある意味、貴重な建物といえるでしょう。
味のある外観ですが、屋根の真ん中あたりに注目してください | 屋根の中央が少しへこんでいるのがわかりますか? |
壁は昔の家の定番ともいえる竹小舞ですが、土壁がはがれてしまっています | 室内が微妙にゆがんで見えますか? でも、これはレンズのせいではありません |
廊下の掃き出し窓の上には、さらに窓が。戦前の住宅で、ハイサイドライトとは、超モダン? | キッチンの天井には天窓(トップライト)がありました。これは現代にもいきる工夫ですね |
実はこの物件、つい最近、取り壊されてしまいました。もともと、Sさんご自身がお住まいではなく、人に貸していて、借りていた人が引っ越したため、取り壊すことになったそうです。新しく借り手を探すにしても、手を入れなければならないのはご覧の通りですが、一通りのメンテナンスやリフォームでは、現代の住宅の性能に太刀打ちできません。特に、耐震性能や断熱性には、ものすごく大きな差があります。Sさんは、この場所に新たに賃貸住宅を建てる予定だとか。外観にちょっと味のある、昔の木造住宅ですが、建て替えは仕方のないことでしょう。
さて、次のページでお見せする住宅は、現在でも使用されている物件です。