暮らし方から考えたい断熱性能
今、新築する場合、断熱材を入れない家は、まずないでしょうし、ある一定以上の気密・断熱性能を備えることは、これからの家では当然のことです。しかし、どの程度気密・断熱性能を求めるかは、建築地域や暮らし方、暖冷房の方法など、多面的に考えたほうがよさそうです。
面積や形など同じ条件であれば、窓の大きい家より、小さい家のほうが断熱性能が高くなります。また、同じ面積であれば、凹凸の多い家より、正方形や長方形の家のほうが断熱性能は高くなります。だからといって、希望と違った間取りの家にしたり、生活しにくい家にしてまでも、気密・断熱性能を高めようとするのはおかしな話です。
床や壁、天井などの断熱だけでなく、窓などの開口部の断熱もかなり重要です |
また、住宅の気密・断熱性を考えるうえで、忘れてはならないのが窓などの開口部の断熱性です。冬の暖房時は、窓などの開口部から逃げる熱の割合は5割弱、夏の冷房時に開口部から入ってくる熱は7割以上(1992年に定められた新省年エネルギー基準の住宅モデルの場合)というデータもあるくらいです。こう考えると、これからの住宅なら、開口部は断熱サッシや複層ガラスにするのがいいでしょう。
省エネルギーの視点で気密・断熱性をとらえる
一方で、地球環境の側面から考えれば、省エネルギー性の高い住宅を建てることは重要なことです。とはいっても、断熱材をたくさん入れて、窓を小さくし、気密・断熱性を高めるばかりが省エネルギーではありません。季節によっては、冷暖房設備を使わずに快適に暮らす工夫が必要です。そして、前述の開口部からの熱の流入をみても、夏の日射を防ぎ、冬の断熱を高めることが重要になってくるのです。
例えば、夏の日射を室内にできるだけ入れないようにすると、冷房効率は格段によくなります。その対策として意外に効果があるのは、西日があたる窓にはカーテンやブラインを掛けたり、窓の外にすだれを掛けるといったこと。冬は、カーテンを二重にしたり、窓のサイズよりひとまわり大きなカーテンや、床まである長いカーテンを掛けたりするのも効果があります。こういったことは住宅の構造とは関係のないことですし、だれもが容易に取り入れられる方法でもありますね。
何より、1年中窓を閉め切って、エアコンなどの機械にたよって室内環境を管理される住宅より、気候のよい季節なら自然を感じながら暮らせるほうが気持ちよさそうな気がします。
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