住宅について、よく取り上げられるのは、賃貸が得か、持ち家が得かということです。これについては、かなり意見の分かれるところですね。以前あなたの一票で伺ったところによると「長く暮らせる家づくり」をご覧の方は、持ち家の戸建てに住んでいる場合が多いようです。今回は、賃貸と持ち家について、長く暮らせる住まいとしての視点から考えてみたいと思います。

賃貸はそのときの条件に合わせて住まいを選べる

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どんな街に住むかも大切ですが、どんな家でどのような暮らしをするかも大切ですね
賃貸住宅の一番大きなメリットは、自分の仕事や家族構成、ライフスタイルなど、そのときどきの条件や希望によって、都合のよい物件を選んで、引っ越しがしやすいということだと思います。大抵の場合、賃貸契約は2年ですから、そのたびに新しい住まいに移ることも可能ですし、契約を継続することもできます。

賃貸住宅のほうが割高なケースもある?

一方、コストは、どうでしょうか? 賃貸のほうが安くてすみそうな気もしますが、実際にはそうでもないようです。同じ建物内で、賃貸住宅になっている部屋と、分譲され持ち家になっている部屋が混在しているケースはよくありますが、近ごろは賃貸のほうが割高になっています。物件価格や返済期間にもよりますが、現在のように低金利が続くと、月々の賃貸料と、持ち家として購入したときの月々の返済額では、返済額のほうが少ない金額ですむこともあります。

住まいとしてのグレードは持ち家のほうが上?

では、住まいのグレードとしては、賃貸と持ち家では、どちらが上でしょうか。これは一概には言えることではありませんが、同じような立地条件や広さ、築年数、方位などで、はじめから賃貸住宅として計画されたものと、分譲として建築されたものを比較したとき、賃貸住宅より見劣りする設備仕様の分譲物件は、あまり見たことがないような気がします。

設備機器のグレードで比較してみると、わかりやすいかもしれません。分譲物件なら、戸建て、マンションに限らず、それなりのグレードのシステムキッチンやシステムバス、トイレなどが設置されています。窓は、複層ガラスや樹脂とアルミを組み合わせた断熱仕様になっていたり、クレセント錠のほかに補助ロックのついた防犯性の高い仕様になっているケースも多く見られます。

賃貸住宅には富裕層を狙った超高級物件がありますが、分譲にも賃貸と同等かそれ以上のグレードの物件は見られますし、その中には分譲として計画された建物の一部を賃貸住宅として提供しているケースもあるでしょう。

ときどき、取材で賃貸住宅を見る機会もありますが、よほどオーナーの強い思い入れがない限り、プランニングの面では、効率的に多くの賃貸住戸を確保することが重視され、設備や建具などの仕様は設計者から提案されたものや、カタログの中から選ぶケースが多いようです。設備機器メーカーのライナップには、戸建て用とマンション用のほかに、賃貸住宅用の製品を用意しているところもあります。

次のページでは、住む人の心理の違いについて見ていきましょう。