根本的な解決ではないが…
Mさんは、前回のレポート時に、この家の欠点を「断熱性と気密性の低さによる寒さ」といいました。その原因は、木製サッシが経年変化で立て付けが悪くなり、すきま風が入ることや、畳の下の床下はすき間だらけで断熱材もないからでした。そのため、Mさんは建て替えまで考えていたのです。今回、サッシや床はリフォームされていません。つまり根本的な問題点は解消されていないのです。畳を入れ替え、襖も張り替えました。そのためか、室内もなんとなく明るい雰囲気に |
重量バランスも改善!?
屋根の葺き替えも大きな効果がありました。もちろん雨漏りが解消されたのは言うまでもありませんが、それ以上の「安心」を得られたのだとか。Mさんの家は南面のほぼ全面が開口部になっている、いわばバランスの悪い住宅でした。そのうえ、屋根は重い瓦葺きです。小さな家なので、この程度のバランスの悪さなら大丈夫と思っていましたが、築年数を経て傷んでくるにつけ、台風や地震の時には倒壊するのではないかという、一抹の不安があったそうなのです。屋根は既存の瓦を撤去し、彩色スレートに吹き替えました。これで、かなり軽量化を実現 |
リフォームの最大の効果は?
実は、これらのリフォームの中で一番効果的だったのは外壁の塗り替えだと、Mさんはいいます。家の寿命が延びることもありますが、キレイに再塗装された外観を見ると「もう少しこの家で暮らそうかなという気持ちが湧いてくる」とのことです。表面がざらざらとして、黒ずみが見られた以前の外観のときには、建て替えることしか考えなかったのに、リフォームして手を入れた途端に、住み続けてもいいと思えるようになったのです。屋根を葺き替えた時に、リフォーム業者から「柱などはしっかりしているので、屋根を修理すればまだまだ使える」といわれたことも大きな安心材料でした。
リフォームにかかった期間は約3日。屋根を葺き替えるような大掛かりな作業があったのにもかかわらず、住みながらリフォームができたので、工事の煩わしさもなかったとか。断熱性や気密性などの根本的なマイナスポイントは解消されていませんが、それでも、住んでいる人が「快適」といえるまでの性能は回復しています。もちろん、現在の住宅性能には遠く及ばないにしても、リフォームによって、Mさんは家への愛着を取り戻しました。
今回のリフォームにかかった費用は、建て替える費用の10分の1以下でしょう。あと何年この家に住み続けられるかはわかりませんが、Mさんにとって、このリフォームのコストパフォーマンスは高いといえそうです。