マンションの暖かさは部分的?
マンションの暖かさはどうなのでしょう?最近、築30年のマンションと新築の物件を比べてみる機会があったので、よくわかったのですが、近ごろのマンションの断熱性能は、なかなか優秀です。私が実際に体験した新築マンションの例では、12月に、まるまる二日間ほど暖房を切った状態にしていても、室温は18度を下回ることはありませんでした。暖房がないと少し寒いなと感じますが、エアコンをつけるとすぐ暖かくなりますし、設定温度も22度程度で快適に過ごせます。部屋は東向きなので、日照は午前中しかありませんが、それでもこの程度の暖かさは保たれています。十分に暖かな家と言えるでしょう。
ただ、全ての部屋がこのように暖かいかといえば、そうではありません。トイレと洗面室には暖房がないので、少し寒く感じてしまいます。もちろんリビング・ダイニングのエアコンの暖気も届きません。新築マンションといえども「家中どこでも快適温度」とはいかないようです。
新築マンションのモデルルームを見るとわかりますが、比較的高級といわれているマンションでも、各部屋にエアコンを設置するようになっています。つまり、マンションでは、各部屋ごとにエアコンなどの機器を用意しなければ、冷・暖房できないのが現状なのです。そしてトイレや洗面室までエアコンがついている物件は、なかなかお目にかかれません。もちろんセントラルヒーティングなどを装備しているマンションもありますから一概には言えませんが、一般的なマンションの場合は「家中どこでも快適温度」の実現は難しいといえそうです。
まだまだ少ない断熱性の高い窓
大きな面積を占める窓ガラスは、断熱性能に大きく影響します |
この時期、窓ガラスの側にいるとヒンヤリと感じることはありませんか? 冬季、窓は大きな冷却面になります。外の冷気を室内に伝えてしまうのです。これを防ぐには、窓ガラスを複層ガラスやLow-Eガラスのような断熱性の高いガラスにし、サッシも気密・断熱性の高いものを選ぶことです。けれどもマンションの場合、複層ガラスやLow-Eガラス、断熱サッシを採用している物件は、まだまだ少ないのが実情です。
もちろんマンションには戸建て住宅にはない魅力やメリットがあります。ただ「家中どこでも快適温度」という性能を考えると、戸建て住宅にアドバンテージがあるように思えます。戸建て住宅の場合なら、仮に予算が足りなくて、窓ガラスをシングルタイプにしたとしても、リフォームで複層ガラスやLow-Eガラスを後からとり入れることも可能ですが、マンションで対応するのは戸建てよりずっと難しいでしょう。
このように「暖かさ」ひとつとっても住宅の性能はさまざまです。前回の記事でも「性能を考えながらプランニングをしなければならない」ことは重要だとお話しましたが、自分が望んでいるのは、どんな「暖かさ」なのか? またそれは将来も変わることがないものなのか? そういったことよく考えて住宅を選ばなければ、後悔することになるかもしれません。
ただ、もし失敗したと思うようなことになっても、リフォームで対応できれば安心ですね。そういった意味では「拡張性」の高い戸建て住宅を選んでおくということも、ひとつの方法かもしれません。