栃木県・宇都宮駅のすぐそばに、国の重要文化財に指定された旧篠原家住宅があります。篠原家は、醤油の醸造や肥料の販売を営む大きな商家だったそうで、この建物は110年以上前に建築されたもの。今回は、1階・2階を合わせると100坪にもなる旧篠原家住宅を訪ねてみました。

重要文化財に指定された商家

旧篠原家住宅は、醤油醸造業や肥料商を営んでいた豪商。この建物は明治28年(1895年)の建築で、第二次世界大戦の戦災でも残りました。平成8年宇都宮市に寄贈された後、復元・修復工事を経て、平成9年から一般公開されています。そして、平成12年主屋(おもや)と新蔵が国の重要文化財に指定されました。

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外壁に黒漆喰や大谷石を使ったどっしりとした木造二階建ての旧篠原家住宅。築110年以上前の建物です
主屋は木造の二階建てで、1階が約52坪、2階が48坪もある堂々とした建物です。1階は、入り口を入ったところが土間になっており、帳場があります。その奥は茶の間や仏間、寝室などに使っていた和室など。2階は、20畳の広さを誇る座敷のほか、客間があります。

家の中心に据えられたものすごい大黒柱

この家は、華やかな装飾がほとんどなく、どちらかというと質素な印象です。けれども、解説シートの説明文を読みながら見学していくと、約2年の歳月をかけ、当時のお金で約3万円もの大金を費やして建てられたというだけあって、至るところに非常によい材料がふんだんに使われていることがよくわかります。

帳場"見せ梁
左/1階の帳場。三方を囲った帳場格子があり、そろばんや帳簿が置かれていました 右/帳場の天井。見事な梁が見えます。商家らしく神棚もありました

例えば、土間の上がり框はサクラ材。こんなに立派な上がり框は見たことがありません。また、2階の床が1階の天井を兼ねる構造になっているため、1階は梁がむき出しになった「見せ梁」になっているのですが、ここにも見事なケヤキやアカマツが使われています。太い梁は力強く、木目が今も美しさを放っています。

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上がり框はサクラ材、大黒柱はケヤキ。華美な装飾はないものの、よい材料が使われていることがわかります
そして、この家の中心に大きな存在感を示しているのが大黒柱です。なんと、1辺が約45cm(1尺5寸角)もあるケヤキの柱で、全長11mを超える通し柱で、2階の床の間の床柱を兼ねているそうです。当時でもこんなに太い柱を使った住宅は珍しいのではないでしょうか。