京都は街並みや景観に厳しい地域だからなのか、神社仏閣以外にも古い建物が多く残っている気がします。今回は、京都に点在する古い建物の中から、築70年以上の建物を4軒訪問。いずれも、古いながらも美しい佇まいでした。美しいと感じる理由はどこにあるのでしょうか。

有形文化財に登録された病院

下の写真は京都市中京区にある「革島外科医院」です。有形文化財に登録されていますが、今も外科医院として開業中。建築は昭和10(1935)年ですから、築70年を超えています。

オーナーが留学中に見たドイツのお城をイメージして建てたものだそうです


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正方形の窓が縦2列に16個も並びます
今の季節はツタが外壁の大半を覆い、ハーフティンバー様式ならではのむき出しになった梁や柱を見ることはできないのですが、左側のとんがり帽子を思わせる屋根がかわいらしい建物です。

この建物は木造だそうですが、どっしりとした安定感があります。それは、玄関を真ん中に配置し、左右に特徴的なデザインを凝らしたことが大きいでしょう。右側と左側でデザインは異なりますが、どちらもボリューム感を持たせ、ちょうどよく釣り合いが取れています。

かの有名なヴォリーズが設計した家

次に取り上げるのは京都市上京区にある「大丸ヴィラ」。こちらは、大丸の社長だった下村正太郎氏の住宅として建てられたもので、かの有名なウィリアム・メレル・ヴォーリズ主宰のヴォーリズ建築事務所の設計です。鉄筋コンクリートの3階建てで、建築は前述の革島外科医院の少し後、昭和7(1932)年。京都市登録有形文化財になっています。数年前までは、大丸の展示会などの会場として使われていたようですが、現在は敷地内に入ることができず、中を見学することができません。

チューダー様式の建物だということで「中道軒」という別名があるそうです


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敷地内には大きな木が何本もあり、風格ある建物を木々が隠しています
この洋館はイギリスのチューダー様式で、正面の妻側に見えるハーフティンバーが力強い雰囲気をつくり出しています。設計を依頼した下村氏が海外の建造物や芸術に詳しい人だったので、ヴォリーズがイギリスで人気のあったチューダー様式の建物にしたという話があるのだとか。内装もすばらしく、室内にはアメリカ・キッチンジャー社の家具があるそうで、これも有形文化財になっているということです。公開されていないのが、残念です。

次のページで、もうひとつヴォリーズ設計の建物を紹介しましょう。