大成功のKDCM記念講演会
「日本のキッチンデザイン未来像」概要を報告します!
基調講演は、世界的デザイナーとして活躍しておられる喜多俊之氏です。18日から始まるミラノサローネへの出展やプライベートショーや初日のレセプションなどの準備で超多忙な喜多氏には快く講演を引き受けていただいき厚く御礼申し上げます。
喜多氏のデザインスタンスの基本は「人々のくらしの中のデザイン」を常に考えているという話からスタート。
1971年当時のイタリアはプラスチック素材が大ブームの時代に、伝統工芸の紙すき和紙を使った照明器具デザインを発表して一大センセーショナルを巻き起こした思い出から、昔の和食器を造形のヒントにした3つの小皿がまとめられたトレーは数年前のミラノで開いた大晩餐会で使ったが、会場で大人気を呼び有田焼再生へのきっかけとなった話など、興味深い話題が次々と出てくる。
同じように燕市の金属洋食器の生き残る道として、デザインの意味の大切さを語りかけてくれた。
同様に、輪島塗という完成された和食器にほんの少しのデザイン発想が加わることによって、新しく生まれ出る価値の創造について説明があった。
輪島漆で仕上げた4本の柱と畳で構成された一坪の茶室ユニットは、組立て式でどこにでも持ち運びができる。これだけの構成で結界を作り上げる日本の伝統美の素晴しさを語る。
最近はユニバーサルデザインという言葉が流行っているが、喜多氏は「ユニバーサルデザインというのは思いやりのデザインだと思う」と説き、最近完成したばかりの日本の水栓金具メーカーの依頼でデザインしたキッチン水栓、サーモバス水栓、シャワーヘッドデザイン、シングルレバーデザインなどのエスキースを紹介していただく。
温厚な性格の喜多氏の講演には共感される参加者も多く、引き続いて出席していただいた懇親会会場では引っ張りだこになっていました。
次のページでは和田浩一氏の講演内容をレポートします。
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