KDCM主催「木材のルーツを探る新木場セミナー」
参加レポート
次の訪問先は、昭和22年創業の「東京銘木協同組合」。
この銘木市場に入場するにも手続きが必要で、組合員でなければ、ユーザーが直接購入することはできない。
市場の奥には巨大な榧(かや)の根でつくられた衝立があった。この木は将棋盤や碁盤をつくる最高の木で、榧の実は油を搾ったり食用にもなるという。香木独特の香りは蚊が嫌がることから、カ・ヤという名が付いたとも言われている。
楓のこぶ付柱は、商業建築用に根強い人気があるそうだ。
今回の勉強会最後の訪問企業は、突板(ツキイタ)で有名な「北三」。天然木を0.2ミリ程度に薄くスライスした突板は、合板と合わせて化粧合板として家具材料や内装材料として使われるだけでなく、その厚みを生かした照明器具のフードや商業建築材としても多方面に利用されている。
◇「木材のルーツを探る新木場セミナー」に参加して驚いたことは、木場から新木場に移転した昭和51年当時の企業は650社もあり、現在はなんと160社程度にまで減少しているという現実である。
◇様々な業態の木材関連企業を見学させていただいて一番感じたことは、私たち設計者やデザイナー、開発担当者等が、もっともっと本物の木の実態を知るべきで、現代のキッチンデザインやインテリア空間に貴重な地球資源を活用する方策を真剣に考えるべきだと思った。
例えば天然木の突板は、従来化粧板としてしかキッチンの扉材に利用してこなかったが、近い将来、この厚みを生かしてキャビネット内の照明を効果的に演出する「キッチンと照明の融合」などにも利用でき、「陰影礼賛」でも知られる日本建築の中で存在しうる、独創的なキッチン空間を構成できるものと考えている。
■今回の見学会で講師役を務めていただいた「村山元春」氏は、Woody Plazaのディレクターを務められている。
■見学会は、ニシザキ工芸様の企画運営で実行することができました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
■KDCM勉強会のレポートは、KDCMの公式サイトをご覧ください。