和紙に写した、めでたきニッポン
江戸・明治~平成と受け継がれてきた木型は、砂糖をたっぷり使った和菓子に使われます。砂糖が高級品だった時代、それを使うお菓子は、めでたいときにだけ口にする特別なものでした。ゆえに、モチーフは全ておめでたいもの。それを使った和紙のアートは、幸せを運ぶアイテムです。私も永田さんの作品をひとつ持っていて、お正月の飾りに使っています。しかしこれは、美しいだけではありません。
左:フルーツの木型は、果物が滅多に手に入らない時代に憧れを持って作られたもの。高級食材のアワビも、意味は同じ。 右:あまりの美しさに、携帯電話でパチリ |
木型が彫られたのは、古くは江戸時代。それを彫ったひとの時間も刻まれていますよね。だから、この木型の面を和紙に写すということは、遡った時代を映すということ。木型から外したら、形を歪ませないために裏面を和紙で閉じるのですが、これは現在の出来事。
ゆえに、型を写した立体の面から閉じた裏面にある空間には、木型が彫られた時代から現在までの時間が封じ込められているのです。なるほど、時間を捕らえるアートなんだ!
こんな深い話をご本人から聞くことができて、ガイドはかなり感動してしまいました。この講座に通っていると、ぱっと見ただけでは分からない、商品の向こう側にあるストーリーを、たくさん聞くことができるのです。
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