子供の頃、気が付くと、窓には“はすだれ”、廊下にはお昼寝用の“寝ござ”、豚のカタチをした蚊取り線香など、母がいつの間にか用意しておりました。お庭の水撒き、うちわで夕涼みなど楽しい夏休みの始まりでした。いつの間にか、季節に区切りがなくなり、なんとなく時が流れてしまう今日この頃。ここでもう一度”暦(こよみ)”をひもとき、先人の知恵で夏のインテリアを楽しんでみませんか。
“衣がえ(ころもがえ)”
涼しげな水鉢のある庭
この日、6月1日にならないと和服では単衣(ひとえ)を着ることはできません。制服なども夏服になります。日本では四季の変化はっきりして、季節に応じて衣服を替える“衣がえ”のしきたりがあります。平安時代からの宮中でおこなわれ、4月1日、10月1日には夏装束、冬装束に改め、部屋の調度品も替えられたそうです。梅雨になる前に、冬物の衣服を片づけ、夏物の衣服にアイロンをあてておきましょう。レースのカーテンなども日ざしが強くなるまえに洗濯をしておきましょう。
“入梅(にゅうばい)”
暦の上では、6月11日ごろが梅雨入りになります。現在では気象予報が発展し沖縄では何月何日に梅雨入り宣言、本州では何日頃になります。と正確になり風情がなくなり、逆に梅雨支度の機会をのがしてしまうようになりました。農作物のためには恵の雨になる大切な時期です。カビなどに気を付け、浴室、洗面まわりなどの掃除をいつもよりこまめに丁寧にをこころがけましょう。
“夏至(げし)”
江戸切り子のワイングラス
6月22日頃、太陽が真上を通り最も昼間が長い日になります。時には梅雨寒(つゆざむ)の日もありますが、確実に夏に近づきます。鵜飼いがはじまり、蛍が飛びはじめます。さぁ、夏支度をはじめましょう。晴れた日には、完璧な掃除をして、簾(すだれ)や夏障子、籐の敷物などの用意をしましょう。グラスや江戸切り子のガラスなど、夏向けの食器にも磨きをかけましょう。クーラーの掃除も忘れずに、試運転をして故障がないことを確認してください。
“小暑(しょうしょ)”
7月8日頃、少し暑くなる季節。この日から暑気に入り「暑中見舞い」が出されるようになります。7月7日は七夕祭り、天の川を挟んで、年に一度だけ逢瀬をはたす、織女と牽牛の恋物語に夢を託してみませんか!笹飾りをしつらえて、五色の短冊に願い事を書き、旬の取り立ての野菜や果物をたっぷりと天に供えましょう。日本古来の風習を楽しむことは、子供たちばかりでなく大人にもこころの栄養になります。
次ページに続きます!